ナンの夢
水槽脳夢世界
アンネローゼ・アイルホルンの幻想物語
ナンの夢
例え嬉しくても、逃げるしかない上、嬉しくない運命
「アンネローゼさん!
いっぱい、食べて下さいね!!」
そう言って、何故かナンとカレーを差し出す、黒髪の女性。
「いや、私、こんなには食べきれn」
「これが普通の量ですから!!」
「・・・そうなんですか?!」
「まぁ、アンネは小食だから…」
「駄目です!!
アンナリースさん!
あれは『小食』ではなく、『遠慮』です!!
この前もお昼後すぐ、お腹を鳴らしていたじゃないですか!!」
「・・・アンネ。
いっぱい食べな。」
「いや、私、本当にお腹が空いてなくt」
「病院に行きましょう!!」
「そ、そんな大袈裟d」
「大袈裟じゃないです!!」
「ここのお会計は、ビアンカと私が払うから。」
「あ、アンナリースさん。
私一人で払いますよ?」
「???!!!」
「いや、私も払いm」
「アンネは良いから!!」
そんなやり取りが繰り広げられている中、店の中に新しい客が入って来た。
男女だ。
デートかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
顔が似すぎている。
その似すぎている顔の男女二人が、店員に案内されて席に着く。
「ちょ、アンネ!
何処行くの?!」
「ごちそうさまでしたー!!」
手で半分に割られた、もう半分のナンと、
1皿だけ空っぽのカレーのルーを置いて、赤毛の少女は走り去る。
「・・・全く。
アンネったら…」
「まぁ、アンネローゼさんですからね…」
「ちょっと、貴女方?」
少し奥の席から、例の金髪の女性が近づいてくる。
「・・・どちら様でしょう?」
「あ、すみません。
私、エミリア・アイルホルンと言います。」
「・・・『アイルホルン』?」
「・・・さっきまで貴女方と一緒に居た、赤毛の子の名前を、伺いたいのですが。」
「・・・言いたくありません。」
「あ、アンナリースさん?!」
「見ず知らずの怪しい人に、彼女の名前など、教えたくありません。」
「・・・まぁ、それもそうですね。
・・・これだけ、教えてくれませんか?
彼女は、『アンネローゼ・アイルホルン』でしょうか?」
「・・・話を盗み聞きするなんて、あまり褒められた事ではないですよ?」
「・・・すみません。
・・・私達、妹を探しているんです。」
「・・・『妹』?」
「エーベル!!」
茶髪よりの金髪の女性は、連れの青年を呼ぶ。
割とセンスを疑うTシャツを着た男性が、やって来る。
「弟の、エーベルハルトです。」
「・・・貴方方、本当に何なんですか?」
「・・・エーベル。
スマホ貸して。」
「・・・だから忘れ物してないかって、あんだけ確認しただろ?!」
そう言いながら、自分のスマホを貸す青年。
「それはごめん。
・・・開けて?」
「・・・どうせ、アンネの写真を見せたいんだろ?」
「そうそう。」
「あー、もう…」
「・・・あのー?
『自分たちはアンネローゼさんの、兄妹』と…?」
「そうです。」
そう言って、スマホを見せる女性。
「あ!可愛い!!」
「・・・確かに、アンネ?」
そこには、先程走り去っていった、赤毛の少女とそっくりな幼女が映っていた。
「・・・お話を、聞いて頂けませんか?」
「・・・どうします、アンナリースさん。」
「・・・少しくらいなら、良いと思う。
・・・だけど。」
そう言って、金髪の男女に向き直る、金髪ボブの少女。
「・・・私達は、彼女から
『自分は天涯孤独の身』
と、伺っています。
・・・正直、見ず知らずの貴方たちより、私はアンネの発言を信じていますので。」




