鉄パイプの夢
水槽脳夢世界
アンネローゼ・アイルホルンの幻想物語
鉄パイプの夢
痕が心理的なものだけで大変良かったです
「・・・アンネローゼ。
この点数は何ですか?」
「・・・ごめんなさい。」
「謝罪の言葉に意味はありません。」
そう言って女は少女に、鍵を投げつける。
頭を下げていた少女は、投げられた事に気付かなかったのか、
鍵は少女の脛辺りに直撃する。
「反省点や原因を見つけるまで、地下で熟考していなさい。」
「・・・分かりました。」
―――――――――――――――
重い金属のドアが、蝶番の不調を伝える音を立てながら、開く。
ドアを開けた人物の手がかりは、逆光で出来上がったシルエットのみ。
しかし、この扉を開ける人物は二人しかおらず、
先程少女をこの部屋に入れた女ではない事は、シルエットで分かる。
なので必然的に、誰かは消去法で分かる。
「・・・主任。」
「アンネローゼ、この点数は何故だ?」
「・・・私が、モルに対する理解を『したつもり』のまま、
学習を進めてしまったからだと思います。」
「では、何故『理解したつもり』のまま、学習を進めたのだ。」
「・・・慢心です。」
「慢心はただの学習では治せない。
生物としての性質である。
この説は既に、私の研究から立証済みだ。」
「はい。」
「既に7桁は聞きました」
と言う言葉は、飲み込む。
言ってはいけない事だと、既に学習済みだからだ。
「来なさい。」
「・・・はい。」
―――――――――――――――
「・・・利き足は、どちらだ。」
「・・・右です。」
もう3桁は、伝えた記憶がある。
何故この人は覚えないのだろうか。
それも、言ってはいけない事だ。
「そうか。
では、左足を出しなさい。」
「・・・。」
「どうした。
早く出しなさい。」
「・・・はい。」
―――――――――――――――
「この点数だから、直径3cm、10回だ。」
男はそう言うと、振り子なような、簡単な仕組みの装置に鉄棒を取り付ける。
その振り子の先には、物騒に固定された少女の左足がある。
男は、スイッチを入れる。
もはや、小さな声しか上がらないようになってしまった。
生物の学習能力とは、恐ろしいものだ。
少女は、整形外科外来に一人で行った。
「この速度で、この高さで、この重さなら、大丈夫だ。」と言う女の理論は、机上の空論だ。




