鯛焼きの夢
水槽脳夢世界
アンネローゼ・アイルホルンの幻想物語
鯛焼きの夢
中身は黒くて甘いもの
「それなーにー?」
「さぁ、何でしょう?」
「・・・それ、本当に何なの?」
「何々?
宅急便…?」
私が宅急便をまじまじと見ていると、
チャイムの音に気になって玄関までやって来たお兄ちゃんとお姉ちゃんが、
私越しに荷物を見ている。
「え?差出人、外国?」
「え?!あ、本当だ!」
「外国の私のお友達がね、自国のお菓子を送って来てくれたのよ。」
そう言いながら叔母さんは、受け取った荷物をリビングまで持って行く。
段ボールをハサミで切っているところを、三人で叔母越しに見る。
「・・・手紙?」
「・・・読めないね。
何語?」
「日本語、ね。」
「えー?
なんてかいてあんのー?」
叔母さんは「どれどれ?」と、手紙を拾い上げ、サッと手紙に目を通す。
と同時に、少しゲッソリした表情になる。
「・・・まぁ、お礼です。」
「・・・凄い長い手紙だね。」
「・・・えぇ、まぁ。
そうね…」
叔母さんの目が、何か遠い物を見る目になる。
「『お礼』?
何か送ったの?」
「あ、そうなの。
前に、バウムクーヘンを少し送ったの。」
「・・・本当にお礼だけ?」
「・・・お礼と、『催促』ですね。」
「・・・『催促』?
何の…?」
「・・・まぁ、それよりも、送って来てくれたお菓子の方も、気にならない?」
叔母さんは手紙から話題を逸らした。
前にお兄ちゃんの部屋から自由帳を取り出して、お姉ちゃんに
「読んで。」
と持って行った時(私はまだまだ字が読めない)に言われた、
「人には知られたくない事もあるんだよ。」
という事なんだろうなと思った。
「・・・それ、何?
外国のお菓子?」
「そうよ。
えーと…?
『タイヤキ』と言うらしいわ。」
例の手紙を見ながら、叔母さんは答える。
「『タイヤキ』…?」
「なにそれー?」
「随分変わった形ね。
・・・魚?」
「『タイ』と言う赤味の海水魚を模したお菓子ならしいわ。
中には『アンコ』が入っているらしいわ。」
「『アンコ』?」
「豆を甘く煮詰めた、日本―私の友達の国の食べ物よ。」
「たべたーい!」
「今日のおやつにでも、食べましょうね。」
「やったー!!」




