旅の仲間 竜の団 1
俺たちがイーラ村に到着したのは、もうすっかり日が暮れてからだった。
ハイエルフたちに癒やしてもらったというのに、何だかドッと疲れた。出来ればこのまま寝てしまいたいが、とりあえず村長に報告しに行く必要がある。
あの後俺たちは、自分の装備の手入れをハイエルフたちにしてもらったりした。
おかげでヘコんだり傷ついたりしていた装備は今や新品同然になっている。破れた革のジャケットの修復までしてもらった。さすがはハイエルフだ。何処が破れたのか、じっくり見ても分からない。
村長に報告をすませると、村長は大変喜んで、もうすっかり遅い時間だというのに温かい夕食を用意して、もてなしてくれた。
その後、はなれに個室を用意してくれて、俺たちはそれぞれ個室でゆっくり休んだ。
そして、翌朝も朝食を用意してくれ、更に旅の食料なども用意してくれた。
俺たちの旅の荷物の大半は、ファーンのリュック「月視の背嚢」に入れてもらっているので、非常に身軽に旅が出来るようになった。
しかも、このリュックは保存能力もあり、食べ物の劣化を抑える効果があるらしい。長くは無理だがしばらくは新鮮な状態を保つ事が出来るそうだ。
一般的には、食料保存の魔法を使える魔法使いが、こうした処置を施していた為、そうした魔法使いがいるといないのとでは、旅の快適さが全然違うという。
だが、このリュックがあればそんな魔法使いがいなくても充分に快適に旅が出来るというわけだ。
ファーンは「探究者」兼「ポーター」と言うわけだ。
俺たちは村長に挨拶をすませると、村はずれにあるというミルの家に向かった。
ミルの家は意外にもちゃんとした一軒家だった。木造で土壁、窓にはカーテンの掛かった、ごく普通の家で、この村の他の家と何ら変わるところがない。もっと、アズマ風にこだわっているか、黄色だったり紫だったりと、派手な色の家なのではと想像していたので、少し拍子抜けなくらいだ。
俺はドアの前に立ってドアノッカーを叩く。
するとすぐにドアが開けられ、ミルが出迎える。
「お兄ちゃん、おはよ!待っていたんだよ~!」
ミルは元気だ。
俺たちは家に招き入れられたが、妙な事をミルが言い出す。
「いい、みんな。これからあたしの歩いた通りについてきてね!変な所を触ったらダメだよ?」
俺たち3人は顔を見合わせたが、とにかく頷く。
「わかったよ」
「じゃあ、どうぞ」
俺たちは玄関で靴を脱ぐ。
普通の家では、玄関で靴を脱ぐのが当たり前だが、外国では、靴のまま家に入る習慣の所もあるらしい。
そんな事をしていたら床が傷んだり、家の中が汚れてしまうのではないかと思う。しかも、足も休まらないだろうに。
戦や、野盗の襲来などに備えるという、歴史的背景があるのだが、少なくともグラーダでは、そういった習慣はない。
まあ、グラーダはサンダルや、履きやすい靴が使われてきたからという事も関係しているのかも知れない。
もっとも、城や、大きい館、施設などでは靴のまま屋内に入る。
我がペンダートン邸では、生活環境では靴を脱ぐ。個室、自室内、家族が集まるリビングや食堂は土足厳禁だ。基本的に自室で靴を脱いで、邸内を移動する時はサンダルが基本だ。
具足を外したり、ブーツを脱ぐのは手間が掛かるかも知れないが、習慣化されているので問題ない。




