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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第一巻 冒険の始まり
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冒険の始まり  旅立ち 3

 そうと決まれば、まず装備を調えなければいけない。さっそく鍛冶工房に向かう。


 鍛冶工房では、親方のガトー・ゴルゴンゾーラが鎧を直しているところだった。

「やあ、ガトー」

 俺が声を掛けるとガトーが顔を上げる。

「やあ、カシム坊ちゃん。どうしたんですか?」

 ガトーのごつく小さい体つきは、まるでドワーフのようだが、れっきとした人間で、口ひげは無精ひげ程度だ。

「いや、ちょっと装備を調えたくって。相談に乗ってくれないか?」

「装備って、また考古学者のですかい?」

 考古学者として使う道具や、護身用のショートソードなど、ガトーに用意してもらっていた。代わった注文でも受けてくれるので、街で装備を調えるより楽だし、何よりもタダだ。

 ちなみに、この前のショートソードも、祖父の配下たちが見つけて回収してもらっていた。あれも気に入っていたのだが、今度は「冒険者」として使用していくのだから、ショートソードでは心許ない。防具も必要になってくる。

「いや、ちょっと冒険者になる事になっちゃったんだよ」

「ええ??冒険者にですかい?」

 


 俺は事の経緯を簡単にガトーに話す。当然ガトーは驚いていたが、思ったほどでは無い。

「驚かないのか?」

「いや、驚いてはいますがね・・・・・・」

 ガトーが頭を掻いてこっちを見る。

「何だよ?」

「いや、まあ、いつかはこんな事になるんじゃ無いかと思ってたもんで・・・・・・」

 ああ、ガトーもこの家の人間だなぁ~。なんでどいつもこいつも過大評価が過ぎるんだろうか?


「実はそれなりの装備はすでに作ってたりするんですよ」

 ガトーが笑って言う。俺は驚きあきれる。だが、せっかく用意しているなら見せてもらおう。

「どこにあるんだい?」

「まあ、いらしてください」

 ガトーは大きな倉庫に向かう。


 ペンダートン家の武器庫は、かなりの規模で、この一角だけでは収まらない。この倉庫には、ガトーがまだ作り終えていない物や、修理待ちの物、改良予定の物、そして、いろんな種類の素材、材料がたくさん収まっている。


 倉庫の中の鎧がいくつも並んでいる所に、真新しいフルプレートがあった。その横にはロングソードが立てかけられている。かなり値が張りそうな逸品だ。

「どうです?」

 うむむ。作ってもらったのは有り難いが・・・・・・。

「立派な装備だ。さすがガトーだな」

 俺が誉めたが、ガトーはあまり嬉しそうじゃ無い。


「ありがとうございます。・・・・・・でも、さっきの坊ちゃんの話しを聞いた感じじゃぁ、何か違うんだよなぁ~・・・・・・」

 おお、さすがガトー。話がわかる。

「そうだなぁ。今回の旅では、防御力はそこまで必要じゃ無い。相手は創世竜だし、そもそも戦うわけじゃ無い」

「はははっ!創世竜相手じゃ、どんな防具も意味ないですぜ」

 ガトーが笑う。


「つまり、冒険しやすいように、それなりの防御も大事だけど、それより動きやすさや、ガチャガチャ音がしない感じの防具ですね」

「そう!そんな感じだ!」

「となると、具体的には胸当て、すねと腕の防具ってとこですね。頭はどうします?」

 話が早くて助かる。

「正直、冒険者にとってどんな装備が良いかわからない。でも今回は頭の防具はいらないかな?」

「いや、頭は防御しなきゃですから・・・・・・。とりあえず、簡単に脱着できる額当てを持っていったらどうです?」

「なるほど」

「あと、考古学者やるって時に作った革のジャケット。あれを改良して丈夫なジャケットスーツを作ってあるので使ってください。動きを邪魔せず、腹の防御も多少厚くなります。神獣『コダー』の革なので、丈夫で通気性も優れているので、前のより涼しいですよ」

「ああ。それは助かる」

 革のジャケットは気に入っていたが、もうボロボロになってしまっていた。血まみれになったし・・・・・・。



「武器はどうします?」

「うん。ロングソードだとやっぱり洞窟とか狭いところだと取り回しがしにくいから、ロングソードとショートソードの中間くらいの剣が欲しいなぁ。あと、この前の奴みたいに投擲出来るようになってると有り難い」

「あんまり剣を投げるのは、鍛冶師にとっては嬉しくないんですがねぇ~」

 ガトーに横目で睨まれてしまった。

「ごめん・・・・・・」

「いや、まあいいです。この前もその技で何かすごい事をやらかしたって聞きましたし」

 俺が返答にきゅうしていると、ガトーが笑う。


「そんなに投げたいんだったら、投擲ナイフをいくつか用意しましょう。ストックと装備する分も一緒にね」

「ああ、頼む。・・・・・・その、ついでなんだけど、剣の柄に細工してワイヤーを付けて欲しいんだ。投げた後回収できるように・・・・・・」

 それを聞くとガトーは大笑いする。

「ワッハッハッハッハ~~!!!本気で投げる気満々じゃないですか!?」

 だって・・・・・・俺、弓苦手だし・・・・・・。俺は赤面する。


「まあ、良いでしょう。じゃあ、採寸しますよ」

 そう言うと、ガトーは俺の体をあちこち図ったり、手のひらをじっくり見たりした。

「じゃあ、至急作ります。ある物を改良するだけなんで、すぐ出来ます。・・・・・・明日の昼には間に合わせます」

「早いな。助かるよ、ありがとう」

「いえいえ。期待してますよ、カシム坊ちゃん」

 ガトーに期待されても無理なものは無理だろう。せっかく用意してもらった装備も、きっと溶かされてお終いなんだよな~。ごめん、ガトー。


 


 その日の夜は、またパーティーだ。俺は、家に帰ってから1日だってゆっくり過ごしていない事に気がついた。

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