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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第三巻 白竜の棲む山
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白竜の棲む山  黒魔導師 6

 リラは愕然とする。そんな時からつけられていたとは・・・・・・。「気付かなかった・・・・・・。」

 ファーンがつぶやくと、ランダがため息を付く。

「ハーフエルフには気付かれまいよ。だが、このハイエルフにはうんざりだ」

 ランダがミルをみてうんざりした表情をする。

「俺の尾行にあっさり気付いただけでなく、しょっちゅう俺の所に来てペチャクチャとどうでも良い事を話す・・・・・・」

 ランダは「チッ」と舌打ちする。


 リラとファーンがミルを凄い速さで見る。

「お前言えよな!」

「あなた何してるの!?」

 同時に怒鳴る。ところがミルは首をかしげる。

「ええ?だって敵じゃないし、内緒にしててってお願いされたんだもん」

 リラとファーンが頭を抱える。道理でミルがしょっちゅういなくなっていた訳かと悟る。

 しかし、お願いされたからって内緒にはしないで欲しい。素直にも程がある。

 そんなやりとりを無視してランダが言う。

「そんな訳で、やむを得ないからカシムを助けに行くぞ」

 ランダはこれ以上の会話を面倒とばかりに動き出す。


 ランダは周囲を見回し、岩壁の血を調べる。リラたちは大人しく場所を空ける。


「もう、あなたって子は・・・・・・」

 リラがミルの頭をなでる。

「ごめんなさい。でも、あの人悪い人じゃないよ」

 ミルが言うと、ファーンが口をへの字に結んでため息を付く。

「まあ、そのようだな。気にくわないけどな」

「そんな事ないよ。すっごく優しい目であたしのこと見るもん」

 さっきの様子では、とても想像が付かない事をミルが言う。

「うそだろ?」

 ファーンは懐疑的な目で、地面や壁を調べているランダを見る。

「後ね、お兄ちゃんの事を話す時もね、いつもは優しい顔するんだよ」

「・・・・・・」

 ファーンとリラは顔を見合わせて、互いに肩をすくめる。


 ランダと名乗る男の素性は知れないが、確かに敵では無い様だし、実力者の様なので、協力して貰えるなら有り難いのは間違いない。

「よし、信用するか!」

「そうね」

 ファーンとリラはそう決めた。



 少しすると、ランダが立ち上がって話し出す。

「ここで熊が2頭争っている。小熊もいたようだから母熊と雄熊だろう。この血は恐らく雄熊の血だ。3頭はこのまま右の道に行っている。だが、おかしな事にカシムの痕跡がここで消えている」

 ランダが分かれ道の真ん中の地面を指さす。

「周囲の地面にも壁にも、これに続く足跡が見当たらない」

 ランダは首を振って沈黙する。判断はパーティーメンバーにゆだねるつもりらしい。

「よし。じゃあ、やっぱり右の道を進もう。ランダさんよ。それでいいか?」

 ファーンが決断すると、ランダも無言で頷く。

 そして、ミル、リラ、ファーン、ランダの順で右の道を進み出した。



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