英雄たちの唄 雪山 4
小屋に着くと、これまた皆、様々な反応で驚きを示す。
「取り敢えず座ってよ。この子について説明するから」
そう言ってクララーは、チェストのような形をした、ただの木の塊に腰を掛ける。外見だけを真似たが、どう使う物かまでは、母の記憶ではわからなかったようだ。
「説明する」と言っておきながら、この男は説明を放棄した。
「まあ、見て貰った方が早いから、君に任せるよ」
そう言うと、椅子に座らせた少女に、ジェスチャーで指示をする。
指示を理解した少女は、額の目から、クララー以外のメンバー分の光線を放ち、それぞれの額に打ち込んだ。
「うひゃ!」
「きゃっ!」
「む?!」
「おい!」
それぞれに反応し、すぐに頭に流し込まれた映像に引き込まれていく。
それを見たクララーは、小屋を漁りに行く。
小屋の奥の部屋には、キッチンのような物があった。その奥に、箱が有り、そこを明けると暗闇が広がっていた。
クララーは躊躇せずに暗闇に手を突っ込むと、何かを掴み取り出す。
「ふふふ。やっぱりあったか、不思議ボックス。思った通りの食材が出てくる。惜しむらくは調理済みの物は出てこない事だね」
いくつか果物を取り出すと、クララーは居間に戻る。
「わかったわ、クララー」
ピフィネシアが涙を流して、少女を抱いていた。
「この子は私たちの家族にしましょう」
「さすがは僕の精霊だ。僕もこの子を家族にしようと思ったんだ」
クララーはピフィネシアが自分と同じ結論に達した事に満足した。
「この子は僕たち歌う旅団の仲間で、僕たちの妹だ」
「・・・・・・異論はねぇけどな」
マイネーがクララーをジロリと見る。
「何だよ?」
クララーが問うと、マイネーが鼻を鳴らす。
「名前をどうする?」
「おお!おお?・・・・・・おお」
言われてクララーは頭を捻利ながら、ブツブツ言い始める。
「名前も良いけど、コイツ何歳?」
アインが少女の鼻先に指を突きつけると、少女がその指をかじる。
「いて!!コイツ、俺を舐めるなよ!!」
アインがムキになって怒りかけるのを、シャナが思いも寄らない力で止めた。
「は?おい、止めるな!今のうちに上下関係をだな!!」
だが、シャナは真剣な、むしろ凄味のある表情で首を振る。
「止めておけ。死ぬぞ」
「・・・・・・は?」
「見た感じだと3歳程度じゃねぇか?サイクロプスハーフの年齢なんか知らねぇけど」
マイネーが思いつきで発言する。
「じゃあ、この子は3歳!今日が3歳の誕生日ね!」
こうして、少女の誕生日が決まった。
12月4日である。今現在3歳となると、生まれ年はエレス暦3956年と言う事になる。
「マダハルト・パイン!」
クララーが叫ぶ。
「・・・・・・妹なのに、苗字一緒じゃ無いのか?」
アインが突っ込む。
「いや。誰の苗字に合わせるんだよ?」
クララーの返事に、アインが舌を出す。
「それもそうだ」
「意味は?」
マイネーが尋ねる。クララーは教えられてもいないのに、様々な言語を操れる。
「『暴風の娘』さ」
クララーは笑顔で答えた。いつの、どこの言葉かは告げないまま。




