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エレス冒険譚~竜騎士物語~  作者: 三木 カイタ
第二十巻 英雄たちの唄
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英雄たちの唄  雪山 4

 小屋に着くと、これまた皆、様々な反応で驚きを示す。

「取り敢えず座ってよ。この子について説明するから」

 そう言ってクララーは、チェストのような形をした、ただの木の塊に腰を掛ける。外見だけを真似たが、どう使う物かまでは、母の記憶ではわからなかったようだ。


 「説明する」と言っておきながら、この男は説明を放棄した。

「まあ、見て貰った方が早いから、君に任せるよ」

 そう言うと、椅子に座らせた少女に、ジェスチャーで指示をする。

 指示を理解した少女は、額の目から、クララー以外のメンバー分の光線を放ち、それぞれの額に打ち込んだ。

「うひゃ!」

「きゃっ!」

「む?!」

「おい!」

 それぞれに反応し、すぐに頭に流し込まれた映像に引き込まれていく。

 それを見たクララーは、小屋を漁りに行く。


 小屋の奥の部屋には、キッチンのような物があった。その奥に、箱が有り、そこを明けると暗闇が広がっていた。

 クララーは躊躇せずに暗闇に手を突っ込むと、何かを掴み取り出す。

「ふふふ。やっぱりあったか、不思議ボックス。思った通りの食材が出てくる。惜しむらくは調理済みの物は出てこない事だね」

 いくつか果物を取り出すと、クララーは居間に戻る。


「わかったわ、クララー」

 ピフィネシアが涙を流して、少女を抱いていた。

「この子は私たちの家族にしましょう」

「さすがは僕の精霊だ。僕もこの子を家族にしようと思ったんだ」

 クララーはピフィネシアが自分と同じ結論に達した事に満足した。

「この子は僕たち歌う旅団の仲間で、僕たちの妹だ」

「・・・・・・異論はねぇけどな」

 マイネーがクララーをジロリと見る。

「何だよ?」

 クララーが問うと、マイネーが鼻を鳴らす。

「名前をどうする?」

「おお!おお?・・・・・・おお」

 言われてクララーは頭を捻利ながら、ブツブツ言い始める。


「名前も良いけど、コイツ何歳?」

 アインが少女の鼻先に指を突きつけると、少女がその指をかじる。

「いて!!コイツ、俺を舐めるなよ!!」

 アインがムキになって怒りかけるのを、シャナが思いも寄らない力で止めた。

「は?おい、止めるな!今のうちに上下関係をだな!!」

 だが、シャナは真剣な、むしろ凄味のある表情で首を振る。

「止めておけ。死ぬぞ」

「・・・・・・は?」


「見た感じだと3歳程度じゃねぇか?サイクロプスハーフの年齢なんか知らねぇけど」

 マイネーが思いつきで発言する。

「じゃあ、この子は3歳!今日が3歳の誕生日ね!」

 こうして、少女の誕生日が決まった。

 12月4日である。今現在3歳となると、生まれ年はエレス暦3956年と言う事になる。


「マダハルト・パイン!」

 クララーが叫ぶ。

「・・・・・・妹なのに、苗字一緒じゃ無いのか?」

 アインが突っ込む。

「いや。誰の苗字に合わせるんだよ?」

 クララーの返事に、アインが舌を出す。

「それもそうだ」

「意味は?」

 マイネーが尋ねる。クララーは教えられてもいないのに、様々な言語を操れる。

「『暴風の娘』さ」

 クララーは笑顔で答えた。いつの、どこの言葉かは告げないまま。


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