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最終話 腐っててもいいじゃない!

 翌日、学校にて音乃はさっそく友人に昨晩のことを話題に出す。


「綾香、昨日のラミ丘観た!?」

「見たよ。2期、やるんだよね」


 綾香はやはり昨晩のラミ丘でその発表も見ていたのだ。


「そうそう、もう嬉しくて!」

 音乃はその話題に興奮をしていた。


「最終回のストーリーもよかったし、原作のあのエピソードをアニメ化してくれたことも嬉しいし、アニオリも入って最後にラミジオールが出てきたとことかうやばかった! あのキャラはアニメで見ることはできないって思ってたから」


 音乃はさっそく最終回の感想とラストシーンについての話題を出した。


「きっと2期はラミジオールと戦う話とかやるよね!?」


「漫画の尺的に、2期はきっとそれをやると思う」


 やはり漫画と違い、アニメ映像でフルカラーで声と姿が出てくるというのは漫画とはまた違う感動があった。


 まさかあのキャラをアニメでフライングで見れるとは思わなかったのだ。


「ああーーー! その話もだけど、続きも楽しみ!」

 音乃はついつい声が高くなる。


「よかったね。まだ当分ラミ丘が流行りそうで。続きやるんだったらまだまだ盛り上がれるだろうし」


「うん! また漫画も読み返さなきゃ!」


 原作の全てはアニメ化していないものの、現在連載が続いているために原作のストックは十分にあるのだ。

 それならばおそらく2期でアニメ化するであろう、コミックスの後半のストーリーも復習しておこうというわけだ。





 放課後、音乃は部室でもそのことについて話題に出し、先輩達と語る。

「最終回のアニオリが、やっぱり最高だったんですよ!」


「わかるー、あそこ本当に原作のいいところやってくれたよね」


「ロシウスの叫びとか、あれやっぱアニメの演出ならではだよね。声優さんもよくやってくれたと思うよ。もう感情が半端なかった」


 そして、先輩達は野々花にも話を振る。


「野々花ちゃんはどうー?」


「ええ、私も2期ではきっとラミジオールとの戦いのあの話をやると思います」


 あの一件があって以降、今はこうして先輩と野々花と4人で話すことも日常だ。


 野々花は以前より頻繁に部活に顔を出すようになり、先輩達とも話をする。


 野々花もまた、以前は見せなかったような生き生きとした表情を見せるようになった。


「今日帰ったら、私もまた漫画を読み返して新しい話を作ろうと思います」


「野々花ちゃんの新作、楽しみにしてるよー」


 以前は小説を書いていることを秘密にしていた野々花も、文芸小説コンクールと昼休みの放送により小説を書くことを皆に明かしたことで、ここでは創作の話題も出すようになった。


 音乃にとっても、そのカップリングという新しい嗜好を見つけたことで、作品そのものがより一層楽しめ、さらに二次創作をする面白さにも目覚め、同じカップリング好き同士とのやりとりも楽しくなったのだ。



思う存分語り合い、今日も下校時間になって、部活が終わった。


「帰ったらまた昨日の最終回の録画みよーっと」


「嬉しそうね、音乃は」


「野々花は嬉しくないの?」


「嬉しいに決まってるじゃない。ラミ丘のアニメが見れることも、それと……」

 野々花はやはり言うことはこれだった。


「これで私達も当分まだまだ二次創作を続けるってことね」


 もちろん、音乃と野々花もこの勢いで二次創作を書くのは続ける気満々なのだ。


「ラミ丘が続く以上、私達の勝負は続いていくのよ!」

 野々花は、そう言い切った。


「お互いがもっといい作品をいっぱい生み出しましょう!」

 と、音乃に言い、ガッツポーズをした。


「うん、もちろん!」

 音乃もまた、そのつもりだった。





 今日一日、学校でも浮かれ気分で、家に帰ってからも昨晩からふわふわした状態が収まらなかった。


 ツイッターのタイムラインを覗けば「祝ラミ丘2期制作決定!」という最終回記念イラストとと同時に2期お祝いイラストが多数アップロードされていた。


 昨晩放送されたばかりだというのに、たった一日でもう記念イラストを描き上げてアップロードしたファンが多いのだ。


 多くのファンがもうすでに2期についてのツイートをしていた。


「やっぱりみんな浮かれてるなあ、そうだよね。ラミ丘の勢いが止まらないんだよね」


 最終回を迎えたことで、むしろファンの熱量は激しかった。


 続編が確定しているということは今後もこのお祭り状態は続くというわけだ。


「ラミ丘2期っていつかなあ……」


 放送時期がまだ決まってはいないものの、音乃にとっては先の未来に希望が見えてきた。


「私も頑張らなきゃ! これまで以上にいろんなことをもっと、それとやっぱり……」


 この祭り状態が続くのであれば、音乃は絶対にやりたいことがあった。


 それはやはり野々花とも言っていたことだ。


「これからどんどんラミ丘二次創作の小説書かなきゃ!」


 ラミ丘のアニメが再び帰って来るということは、まだまだ二次創作界隈も盛り上がるということだ。


「次はじゃあ、どんなお話にしようかな?」


 その為に、今後も2期が放送決定のお祭り状態ならばどんどん創作威力が上がるというわけだ。


「アミロシについてもたっぷり書いてたっぷり妄想しなきゃ! 最終回のあの2人がすっごい燃料でインスピレーション沸いたし!」


 もちろんそのキャラの組み合わせについてもだ。この二人のストーリーをもっと書いていきたいと。


「次もアミロシでー、それでこうして……」


 音乃はさっそく新しい話のアイディア作りに燃えていた。


 アニメがまた放送される、原作も続く、このラミ丘祭りが続くと思えばまだまだやることはたくさんある。


「なんか最終回って終わっちゃうと思ってた時は寂しいとかあったけど、むしろここから新しいことが始まるみたいですっごくワクワクする!」


 アニメ最終回は終わりではない、ここからが始まりなのだ。


 むしろ、最終回までが放送されたことにより、ファンの活動も本格化する。


 新しい道へと進むこともだ。


「ああ、ラミ丘にはまってよかった! それと……」


 音乃はやはりこれは外せないと思った。


「アミロシにもはまってよかったあ! おかげでラミ丘が一層楽しくなった!」


 学校も、生活も、創作も、友情も、何もかもが絶好調だ。


 この作品のおかげで得たものがあまりにも大きすぎる。


 これがまた、人生に華を持たせるのだと。


 そして、叫んだ。


「腐女子って、さいこー!」


 ああ、腐女子とはなんともハッピーなものか。


 音乃はさっそく新しい小説の為にパソコンへ向かったのである。

 これからも、この幸福が続きますように、と願いを込めて。


 そして、よりよい物語を作ろうと。


                              了


ここまで読んでいただきありがとうございました!


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