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第19話 私達で、やってみよう

 放課後になり、授業が終わってそれぞれの生徒が部活に行ったり、下校をする時間帯。


 音乃も今日は部活に行かず、野々花を探した。どうしても言いたいことがあった。


「野々花、待って。ちょっと話があるの」


 生徒玄関にて1人で下校しようとする野々花を見つけて、音乃は引き止めた。


「何? 私、そんな気分になれないけど」

「聞いて、野々花に絶対いいことがある方法見つけたの」

「なんなのよ、ここで言えばいいじゃない」

「二人っきりになれる場所で話したいの!」


 野々花は音乃の熱意を見て、仕方なく付き合った。


 二人っきりで話せる場所が良い、と例の体育館裏へ来た。そして音乃は言う。


「野々花、私達で皆に野々花の小説が凄いことを見てもらおうよ! 野々花のイメージをアップさせるの。 野々花には、面白い小説を書く力があるってことを!」 


 突然の音乃の発言に、野々花は一瞬首を傾げた。


「どういうこと? 私はもう小説をやめるって……」

「ほら、これ見て!」


 野々花が言葉を出そうとしたところで、それを遮ってでも見て欲しいものがあった。


 音乃はそのプリントを見せる。


『図書委員企画! 校内文芸小説コンクール。みんなで面白い物語を作ろう!  君の力強いテーマと感動の物語をみんなに読んでもらおう! 君の力強い作品を待ってる!』


 それは校内で生徒が書いた小説を募集し、生徒の小説を校内で発表するというものだった 


「応募作品は小冊子として発行。生徒全員に配布され、優秀賞は記念品を贈呈。最優秀賞は全国文芸小説コンクールにも出展」


 そういった内容が書かれていた。


「今度、そういう企画があるんだって、これはチャンスだよ!」

「これを、どうするっていうの?」


 状況が読めない野々花に、音乃は元気よくこう発言した。


「野々花と私で、みんなを感動するお話を作るの! この企画に応募して、私達の小説を読んでもらうの。きっと野々花の腕なら、凄いの書けるよ!」


 音乃の言うことは、つまり自分と野々花の二人で小説を書いて、それを応募することで、この企画に参加しようというたくらみだった。


「そんなの……こんな私にできるわけないじゃない」

「違うよ、野々花だからこそできるんだよ!」


野々花の文章力、表現力、ストーリー構成力などの文才は見事なものだ。


二次創作であれだけの腕なのならば、きっと野々花の書くオリジナル小説というものもやってみれば面白いものができるかもしれない。


 野々花ほど小説を書くことがうまい人物なのであれば、きっと、それができる。


 この企画には主に文芸部の部員が応募することが多いらしいが、校内の生徒であれば、誰でも参加OKであり、なおかつ合作もOKだということだ。


「きっと、私達ならできるよ! 野々花の小説を書く力は凄いもの! 私と一緒に、やろうよ!」


野々花の特技を生かせる。それで音乃はこの企画を推したのだ。


「そうすれば、きっとみんな野々花を見直してくれる! 私と野々花で、みんなに楽しんでもらえる小説を書こう! 野々花の小説の凄いところを、みんなに見てもらおうよ! 」


 音乃はこれはまさに、野々花にとってもいいことだと思った。


 野々花のネタ出しは、腐女子思考でも、野々花のいいところはいっぱいあると皆に見てもらう為に。この方法がいいと。


「でも、最近の私が主に描いていたのはラミ丘の二次創作ばっかりだったのよ? オリジナルを書いたところでこんなのうまくいくわけないじゃない」


 野々花はいまいちやる気にならなかった。自分には無理だと。


 オリジナル小説を書いていたとはいえ、それを最近はやっていなかったからだ。


「いや、きっと私と野々花ならできる! 野々花の力の見せどころだよ! 私も手伝う! 野々花の為になら、私も協力するよ!」


 音乃の勢いに、野々花は少しだけ興味が出て来た。


「本当に……それをやれば、何かが変わるって言うの?」

「うん、きっと変わる。野々花ならできるよ。だって、野々花は凄いんだから」


 音乃は野々花の小説を、もっと読みたいと思っていた。二次創作だけではなく、オリジナルも。


 音乃の熱心なその推し方に、野々花は答えを出した。


「わかったわ。その企画。乗るわ」



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