カナンへの旋律(老精霊の課題と少年の武器)
1=魔女、2=少年
☆魔法陣
1「…私を呼び出したのは貴様か?小僧。」
2「あなたは…!本当に…?あ、あなたが願いを叶えてくれるというあの…?」
1「やはり貴様もか…。」
2「お願い!僕のお母さんの病気を治して!」
1「…ふん、興が乗らぬな。」
2「え?」
1「何かと言えばすぐにこれだ。いつの時代も、貴様らは自分の都合ばかり。」
2「そんな…お願いだよ…!僕、何でもするから!」
1「ほう、何でも?」
2「うん、何でも!」
1「ならば、こういうのはどうだ?」
2「…?」
1「なぁに、簡単なことだ。貴様の母親の命だが、あと3年は保つだろう。その間に、貴様自身の手で母親の病を治せ。」
2「…っ!そんな無茶な…!あなたが治してくれるんじゃ…?」
1「誰がそうすると言った?」
2「え…?」
1「それとも差し出すか?貴様の命を…。」
2「…!」
1「そんな半端な覚悟しか持たぬのに、他者に願いを叶えて貰おうなどと都合の良いことをゆめゆめ思うでない。」
2「…分かった。僕の命をあなたにあげれば、お母さんを助けてくれるの?」
1「ほう?考えてやらなくはないぞ?」
2「だったら!」
1「"だったら"命を懸けて励め。その覚悟があるのなら、私は貴様の願いを叶える助けとなろう。」
2「ほ、本当に⁉︎」
1「ふむ、そうだな…。幾許かの知識を授けてやる。それでどうだ?」
2「それは…どういう…?」
1「今、貴様の手の中にあるのは何だ?」
☆少年が本に触れる
2「…!」
1「それが貴様の武器だ。」
☆魔女がフィンガースナップ
→魔法発動で本に文字が浮かび上がる
2「も、文字が勝手に…!」
1「貴様がこの契りに背いたその時には、先程私に差し出したものが終わると思え。私は傍らで行く末を見守らせて貰うとしよう。」
2「…。」(生唾を飲む音)
1「せいぜい足掻くことだな。幸運を祈っているぞ…。」
2「…はい!」