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海の家【ラプラス】  作者: 島クジラ
開店準備
1/6

第1話

始めまして、島鯨(しまくじら)と申します。

とりあえず、自分の好きな物を詰め合わせていったら、こういう作品がいいなぁ、となったので書きました。


いいなって、思ったら続きも見てもらえると嬉しいです。


では、どうぞ。



青く広がる美しい海。


浜辺に押し寄せる光に照らされた波。


そして…キラキラと輝く砂浜の先に……。



「三番卓の飯がまだだぞぉおおおおおお!?急げぇええええええ!!」



膨大な人の波が打ち寄せている店がそこにはある!!!



「店長!!食品が切れました!!!」


「店の後ろからもってこい!!!小僧がとってきた魚介が余ってるはずだ!!今頃、追加分も届いてるだろ!!」


「店長!!スタッフが熱中症に!!!」


「馬鹿野郎!?なんでもっと早く体調不良を訴えねぇんだ!!体第一だ、後ろで寝かせてこい!!応急処置もな!!!」


「店長!!【まだか、早くしろよ!】と、ガラの悪い男の客が現れました!!!」


「文句あんなら帰れ!!!客を選ぶ権利はこっちにだってあんだぞ!!?小僧を向かわせろ、あいつなら何とかなるだろ!」


「店長!!」


「なんだ!!?」


「アトラ君が誘拐されました!!!」


「またあの変態女どもか!?こんな忙しい時を狙いにきやがって、嫌がらせのつもりか!!!??」



これは一人の少年と、海の家が織りなす日常の一部である!!!



「とりあえず小僧を取り返してこい!!!!!」






――――――

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――――――――――――

―――――――――――――――

――――――――――――――――――






時を遡る事、数か月前。



「あぁん?浜辺に子どもの霊が出るぅ?」



この世で最もにぎやかな街【セルキー】。

世界中の人間・亜人が集まる島【イサ】。その中心に位置する街の酒場で、耳にしたことのない噂を知人から聞いていた。



「本当なんすよ【ホジロ】の旦那!なんでも、昔の戦争で死んだ子どもの霊だとか、海獣に殺された子どもの霊だとか…魚人の子どもだとか」


「確実に最後のやつだろ、答え出てんじゃねぇか」


「いやいやいや!そうとも言えないんすよ!あいつらの肌は青色ですし、耳も特徴的なんすよ」



 亜人種は、人の形を持っているだけで、それぞれがそれぞれの特徴をもって生きている。代表的なのでいえば【エルフ】だろう。彼らは人間に最も近いが、耳が長く、長命種な特徴がある。

 それと同じように、魚人にも特徴がある。


 基本的に、魚人と呼ばれる種族の彼らは肌が青く、耳が魚のヒレのようになっている。泳ぎが得意で、漁業を主な仕事として生計を立てているのがほとんどだ。

 この間、市場で魚を下ろしているのを見たホジロは、陸でも普通に過ごしてんなぁ、と思っていた。


 だが、魚人でもない、という確証があるのは……。



「それに、今回の話は【魚人】から流れてきた話なんすよ!」


「……なるほどなぁ」



酔いも醒めてきたのか、ホジロは冷静な顔で話を整理した。



浜辺に現れる子どもの幽霊。

魚人から流れてきた話。



魚人が自分と同じ種族の子どもを見間違える可能性は低く、子どもであるなら【人攫い】に合う可能性を考えて一人にすることはない。

浜辺付近でしか確認できないのであれば、生きている人間・亜人である可能性は低い。



˝だからこそ【幽霊】か……˝



「どうっすか!?確認しに行きませんか!!」


「なんでだよ」



ホジロはそもそも【元料理人】だ。

今話している知人も市場の人間で、戦闘などに特化しているわけではない。


もしも、相手が【魔物】なのであれば自分たちに勝ち目はない。

幽霊自体は気になるが、命が関わってくるなら話は別だ。命あっての物種、こんなところで死ぬつもりなど毛頭ないのだから。



「あれぇ?ホジロの旦那ぁ、ビビってんすかぁ?」


「…………あ?」



しかし、目の前の知人にはそんなもの関係ない。


酔いもいい感じに回り、顔も赤く染めて、口調も安定していない。

完全にへべれけ状態。

そんな男に正常な言葉など選べるわけもなく。目の前のホジロに、禁句ともいえる発言を躊躇なく発した。


つまるところ…。



「今すぐ行くぞおら!!!!!」


「ぐぎゃんっ!!??」



知人の首根っこをつかんで、引きずりながら酒場を早足で飛び出ていった。

なお、引きずられている男から、キラキラの天の川が流れ出ているのを見て、酒場の店主は青筋を立てながら見送った。


この時、酒場の客たちは【幽霊の100倍怖い】と、口を揃えて語った。

後日、2人の男の悲鳴がセルキーに響き渡った。






――――――――

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――――――――――――――――――――






「ちっ…話に乗せられたはいいが、ここにホントに居んのか?」


「ヴぉえ……う、うぅ…」



島の港であるセルキーから少し歩いて、この島の名スポットであるビーチに辿り着いた。

多くの人々が海水浴や釣り、サーフィンなどを楽しむために訪れる場所だった。ホジロが本当に居るのかと疑うのも分かるような場所だった。


そもそも、幽霊などという場所は、こんなに人が多くいる場所を好むことなどありえない。偏見なのかもしれないが、目撃例が廃墟や寺院が多いのだ、そう思うのも無理もない。

しかし、噂が流れていることに加え、目撃したという話が出ている。であれば、嘘だという事実がない限り、少なくとも横で口から滝を作り出している男は納得しないのだろう。あんな安い挑発に乗るんじゃなかったと、後悔。


˝仕方ねぇ。さっさと終わらせるか˝



「おい、このビーチのどこで目撃されたんだ?こんだけ広いと、探すにも限度がある。知ってるなら言え、さっさと終わらせ……」



…………



「……?おい、聞いて…んのか………」



返事がないことを不思議に思い男に振り向くホジロだったが、口を閉じざるを得なかった。



「お、お前……!!」






˝旦那、すみません。耐えられないんで、後日話聞かせてくださいっす˝


「くそがぁああああああああああ!!!」



綺麗な【置手紙】が置かれた砂浜にホジロの怒号が鳴り響いた。

こういうときだけは足が速い。酒癖悪い癖に、誘ったやつが先に居なくなるとか頭おかしいだろ、と叫びたくなる衝動を何とか抑える。


今この瞬間も、その幽霊が出てくる可能性があるのだから、あまり目立った行動はとれない。しかし、どこに幽霊(それ)がいるかもわからない。

さて、どうしたものかと頭を搔くホジロ。



「………………」



そんな彼を見つめる小さな視線があったが、ホジロが気づくことはなかった。






―――――――

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――――――――――――――――

―――――――――――――――――――






「このへんかぁ…?」


浜辺から少し離れ、釣りの岩場まで足を運んで見たものの、幽霊などには出会わない。

足元に打ち寄せる波の音を聞きながら、ホジロは一瞬海へと目を向ける。



「…………」



酒で火照っていた体に涼しい夜風が吹きかかり、岩場に打ち寄せる波の音が心に癒しを与えているように感じる。月に照らされた海は、光が反射して宝石のような光を放っている。

幻想的な夜の風景は、告白のスポットとしても使えるといわれても疑われないだろう。


だからこそ、ホジロは今の自分には一切似合わない光景だと思った。


整えてもいない髭や髪、よれよれの服装に、酒を飲んで毎日を過ごす。

今の自分はさぞ滑稽だろうと、悪態をつく。



˝なんであんなやつの肩を持つんだ!!?


˝仕方ないだろ。相手はあのビックスターだぞ?ここでメンツを汚すようなことしてみろ、店が潰される˝


˝っ!だからって……!!˝


˝分かってくれ。これはお前のためでもある˝


˝ふざけんな!!!俺がいつそんなことを望んだ!!!?˝



嫌なことから、逃げて逃げて……逃げた先には何もなかった。



˝店も客も店も失った……こんな俺に何が残ってんだ?いったい、俺は何のために生きてんだ…?˝



酒も抜けてきて、思考が現実に戻ってくる。

今更使うこともない包丁を毎日研ぎ、新聞で今の料理の情報をあさっている。だが、何の意味あるんだ?、と自分に問いかける。

包丁を振るう店もなければ、料理に使う食材も手元にない。

残ったのは料理を作っていたころの金と、使うこともない包丁達。


なのに、俺は何でまだ諦めきれない?



「くそが……」






「なにがー?」





「っ!?」



唐突だった。

人がいる気配もない、足音もしない。


しかし、その声は確実に【自分の耳元】から聞こえた。


条件反射で飛びのくホジロ。自分でも驚くくらい、声は出なかった。


声の正体は十中八九【幽霊】と呼ばれる何かだ。そう感じ、ホジロは振り向いた。

見た目は10歳くらいの子どもだろうか。月に照らされた淡い水色の髪が風に揺られ、真っ黒な瞳がこちらを見つめている。

服装はまるでボロ雑巾、靴すらも履いていなかった。


少年は不思議そうに、しかし楽しそうに笑いながらこちらを見ていた。



「おめぇが幽霊か…?」


「幽霊?おじさん、幽霊見たことあるの?どんな見た目だった?」


「現在進行形で、俺の目の前にいるよ…」



あぁ、面倒ごとを引いた。

そういわんばかりに顔をしかめるホジロに、首をかしげる少年。


少なくとも、幽霊はいなかった。正体はこの少年だ。

それはいいとして、問題は少年の状態だった。


この島、イサは世界で最も賑やかな街【セルキー】を中心に栄えた島だ。

島の警備や治安は裏社会など許さないと言わんばかりに、かなりの整備が施されている。街中で貧乏な奴など見たこともない。それこそ、金や食品を盗む必要もないほど、この島で生活する者たちは潤っているのだ。


それに対して、この少年はどうだ?


痩せてはいないものの、服装はボロボロの布切れと言われてもおかしくない程、完全に貧乏のそれ。生活保護を受けているようには見えない。周囲を軽く見渡すものの、親もしくは保護者らしき者の姿は見えない。所々、体が汚れているのを見る限り、風呂にすら入っていないのだろう。


考えられるのは虐待だが、少年の体には暴力による痣や傷は見当たらない。

家出をした?だとしても、こんなところに来る必要がない。街中である程度過ごしたら、家出中の子どもは満足するだろう。



「捨て子か……くそが」


「?」



可愛らしく首をかしげる少年の顔を見て、ホジロは溜息を吐く。


ここはどこの島や大陸よりも安全で安定している。

そういうこともあってか、セルキーには多くの捨て子が存在している。といっても、ほとんどが孤児院などの保護施設で不自由なく過ごし、今では街の中で何事もなく生活をしていることだろう。

有名なのは、この島の警備隊長だろうか。


しかし、それも保護施設に親が預ければの話。


目の前の少年はこの付近で捨てられたのだろう。

珍しい話ではない。そもそも、保護施設に預けるという行動そのものを嫌う人間などいくらでもいる。子どもを預けている姿を他人に見られ、後ろ指をさされることも少なくないだろう。ここがいくら世界一の街といえども。

だから、この場所に捨てたのだ。多くの人間が利用することを知って、その人間たちに見つかりやすいようにこの場所を選んだのだ。



˝ふざけんな……!!˝



口には出なかった。

しかし確実に怒っていると、目の前の少年には伝わったようで…。



「おじさんぷんぷんだねぇ。ご飯食べる?」


「っ…余計なお世話だ小僧」


「むっ、小僧じゃないよ。僕にはちゃんと名前があるんだから!!」


「あー、はいはい。それは悪うござんした。じゃ、名前を教えてくれるか?」


「ふふーん、教えてあげるね!」



先ほどまでの怒りはどこへやら、ホジロは何とも言えない少年の不思議な空気感に呑まれていた。

少年も嬉しそうに、ホジロに向きあった。






「ボクの名前は【アトラ】!!よろしくね、おじさん!!」


「おじさんじゃねぇよ小僧、俺には【ホジロ】って名前があんだ」






月が海を照らす岩場で、2人は笑いながら言葉を交わした。


˝また小僧っていったぁ!!˝というアトラの言葉を聞き流しながら、ホジロはこの後どうするか考えながら、空を見上げた。






―――――――

――――――――――

―――――――――――――

――――――――――――――――

―――――――――――――――――――






「ここだよ!!」



何とも言えない出会いを終えた二人は、アトラの提案で彼の家に行くこととなった。

辿り着いたのは小さな入り江。

先ほどの岩場からは見えない位置に存在するまさに隠しスポット。


アトラが進む先には手作りでもしたのか、ボロボロの木でできた家とも言えない建築物。その付近には、明るく燃える焚火や、水を入れておくための石で出来た貯水槽のようなもの。子どもが作れるとは思えないようなものがあった。

ホジロとしては˝家…?˝というのが本音だが、10歳の子どもが一人で生活しているにしては、かなりの高得点だろうと、どこか納得する。



「ちょっとまっててね~」



大きめの石、というか岩を足元に置くと、アトラはボロ屋の中に入っていった。

置かれた岩に何の意味があるのかとホジロは考えたが、おそらく座れという事だろうと、勝手に納得して座った。しばらくすると、中から何かを抱えたアトラが出てきた。



「どうぞ!!」


「いや、どうぞじゃねぇよ!!」



˝えっ?˝という顔をしたアトラを見つつ、ホジロは頭を抱える。

彼が取り出してきたのは【何かの肉】。


アトラからすればお客さんが来たのだから、おもてなしをしよう、というとても立派な行動ではあるのだが、今先ほど出会ったばかりの不思議系元幽霊少年の取り出した謎肉を、ありがとうと言いながら食べるだけの勇気と信頼と食欲と優しさをホジロは持っていなかった。



˝これ何の肉だよ!!?そもそも、何でもってんだ!?こんなところで保管されてて品質は大丈夫なのか!?てか、生肉じゃねぇか!?最低でも焼いて出せよ!!!!???˝



色々と考えは出てくるが、渡された肉は少なくとも食材。食材を何も考えずに捨てる行為は、元料理人の頭にはなかった。

流石に生では食えないと、焚火で火を通して食うことにした。ジュワジュワと焼けていく肉からは、特有の食欲を刺激する香りが漂ってきた。塩も何もないため、味付けなしでの食事となるが、なまにくよりはましだろう。謎肉だけど。

自身の横で美味そうに肉を頬張るアトラにドン引きしながらも、ホジロは肉を少しかじった。



「…………」



バクバクと、アトラがリスのように頬を膨らませ、次の肉に手を出している間、ホジロは一言も声を出さなかった。



˝う、うめぇ…!?˝



保存方法が悪いのか、少し砂が混じっていたが、それを知ってもなお美味だった。

セルキーに来てからというもの、多くの酒場や食堂、料亭に入った。そこのどれもが美味かった。料理人の腕に違いはあれども、美味しかったのだ。何より自分も元料理人、舌は肥えていた。なのに……。



˝特別な調理なんざされてねぇ。塩も振って無ければ、焼き方だって雑だ。なのに、そこらの肉の何倍も強い味。下手したら、その辺の料理屋の飯よりも…!!どうなってやがる……˝



目の前の謎の肉は、見た目とのギャップも相まって、旨味が比べ物にならなかった。

焚火で熱された石の上で焼かれただけの肉のうまみに、ホジロは動揺を隠しきれず、しかし食べることをやめることもできないでいた。

味を探求するその姿は、まさしく料理人の姿だった。



「……おい、小僧」


「んぅ~?」


「この肉は何だ?どこで手に入れた?」



考えども考えども、出てくるのは納得のいかない答えばかり。

味は申し分なく美味い。だが長い料理人生の中で、ここまで不可思議な旨味に出会ったことなど一度もない。このセルキーですらも、滅多にお目にかかれないほどの肉だとどこか感じ取ってはいる。だからこそ、ホジロは怪しんだ。


幽霊だと呼ばれる少年。

10年ほどしか生きていないであろう子どもに、これほどの肉を手に入れられる方法などあるのかと。


そんなホジロを、少年は肉のうまみで緩んだ頬を直すことなく、さらっと答えた。



「海からとってきた!!」



ザザァー、と波の音が大きく聞こえた。


何をふざけているんだと、ホジロは声を大にして言いたかった。目の前の謎肉が、【魚肉】であるということは百歩譲って納得はしよう。だが、【とってきた】とは【獲ってきた】という事だ。島自体は世界一の防衛能力があるといっても過言ではないが、島の外に関しては専門外。

特に、島の外には【海獣】と呼ばれる獰猛な海の魔物が多数存在する。陸地も似たようなものだが、海となれば魔物の脅威度は格段に上昇する。


陸地と違い、水による行動の制限と、何より呼吸が出来ないことが致命的なのだ。


そんな世界で自身よりも速く、そして強い海獣を相手に漁や狩りを行うのは、ほぼ自殺と同じような物なのだ。だからこそ、【魚人】の存在は大きい。

彼らは種族的にも、水中での呼吸を可能としている。筋力はドワーフには劣るものの、人間と比べれば2倍はあるだろう。そんな彼らが獲ってきたというのならわかる。だが、目の前の少年が獲ってきたとは到底信じられなかった。


しかし、それを否定できない程の事実が目の前にあるのも分かっていた。


もう一度言うが、セルキーは世界一賑やかな街であり、治安もトップクラスなのだ。

この肉が盗まれたものだとするならば、目の前の少年は保護施設に既に送られているはずだ。では、街の魚人が少年に肉を渡した?それこそありえない。魚人たちにメリットがないのもそうだが、魚人たちとて、アトラのような姿をした子どもがいれば、必ず保護施設か警備隊などに連絡を入れていることだろう。


では、どうやって生活をしているのか……?


自身で【食材】を【獲っている】ということになる。



「だが…………」


「?????」



どちらも確証がない。


他の方法で、もしかすれば手に入れているのかもしれないが、今のホジロには見当がつかない。

だが、今考えた食材の入手方法は、どちらも証拠がないために、少年の言葉が本当かどうかの判断がつかない。



˝というか、こんなガキが一人でこの肉をとってくることを信じたくねぇな˝



信じる信じない以前に、間抜けな顔して肉を頬張り口の周りに食べかすをこれでもかと付けた子どもがこんな美味い肉を持っているはずがない。

という、大人げない理由でホジロは疑っていた。


まぁ、とにかく。

ホジロとしては、この肉が何なのか。それが何よりも知りたい。


だからこそ、ある提案をアトラに持ち掛けた。






「小僧、てめぇの狩りを見せろ。お前が本当にこの肉を取れるのだと証明出来たら、上手い飯食わせてやる」






ホジロの顔も相まって、まるで悪魔のささやき。

しかし、アトラはそんな顔に特に悪意を感じることもなかったのか、目を輝かせてうなずいた。




余談もしくは雑談、説明の欄(後日談)


【酒場で吐いた男たちの末路】


「…………」

「…………」


˝ねぇねぇ、あの二人なんで掃除してるの?˝

˝だめよ、指さしちゃ…˝



店の前を箒とちり取りで、掃除を行う男性が二人いたそうだが、掃除をしていることに疑問を持つよりも、何故か男性二人の服装が【女性物】だったことに疑問を持っていた。



「次やったら、只じゃおかないわ」(店長:男性)



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