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第一話 メイドのテティア

よろしくお願いします。


恋愛ものです。


ーーー

ペリアリオ王国、王宮内謁見の広場。


「国王陛下ありがとうございます。陛下のおかげで山を開墾し、農地を広げることができました。」

「うむ、元々あの山に巣食う魔獣には手を焼いておったのだ。礼はもうよいぞ。」

「ありがとうございます。」

「その代わり、しっかりと農地を耕して国に年貢を献上するように。」


農民が数人、国王へお礼を述べていた。

しかし、年貢と聞き農民達は顔が暗くなる。


「テティアはおるか。」

「はい、国王様。ここにいます。」

彼女はこの王宮内で王家のメイドである、

〈テティア〉だ。


「この部屋を掃除しておいてくれ。今日は来客が多い。私は少し休むので頼んだ。しっかりな」

「かしこまりた国王陛下。」

テティアは深くお辞儀をする。


「さてと、今日もピカピカにしますか。この部屋広いなぁ、大変だぞこりゃあ。よし! 頑張ろうっ。」

テティアは掃除道具を準備して掃除に取り掛かる。


「テティア? ああ、いたいた。」

「どうされました、エミリア王女。」

彼女は国王の娘である。

とても美しく美人というよりも可愛い。

国王もエミリアには甘い。


「わたくしの部屋にご友人がくるの。だからお菓子とかあればと思ってね。」

「かしこまりました。あとでお持ち致します。」

「ありがとう助かるわ。」

テティアはお辞儀をして、掃除に戻る。


「それはそうとテティア、服がボロボロじゃないの。もっと良い服を買ってあげましょうか?」

エミリアは親切なのか嫌味なのかわからない無の表情でテティアの返事を待っている。


「いえ、そんなもったいないお言葉。」

「ちょっと、エミリア様があなたみたいなメイドにせっかく買ってあげようと手を差し伸べてくれているのに、失礼だと思わないのあなた。」


横から入ってきた彼女は、公爵家のお嬢様〈カトリヤーナ〉。

「カトリヤーナ、いいのよ。テティアは服には興味ないのよ。私たちとは違うだけよ。

余計なことをごめんなさいね。」

「あ、いえ、」


「たしかに、あなたオシャレには無縁そうですものね。」

カトリヤーナは嫌味を言うとエミリアと部屋を出ていった。


ふぅー、掃除掃除っと。

早く終わらせてエミリア様とカトリヤーナ様のお菓子を作らないと。


ーーーーー


ドアをノックする音が聞こえる。

「どうぞ、入って」

「お待ち致しました、エミリア様。こちらシフォンケーキでございます。」

「ちょっと遅いわよあんた。」

またカトリヤーナが不機嫌にそうにつっかかる。

「申し訳ございません。」

「まあいいわ。」

今回はすんなりと引き下がった。


「美味しいわねあんた!」

シフォンケーキを食べながらカトリヤーナが珍しく褒める。

「気に入ってくれたかしら、テティアは料理がとても上手なの。」

「そうなんですか! あんた料理魔法が使えるの?」

「はい、少しですが、」

美味しそうに2人がテティアの作ったシフォンケーキを食べる。


テティアはあかぎれで傷だらけの手を隠す。

「失礼します。」

テティアがエミリアの部屋を出る。


「テティア!」

廊下から声がする。

「テティア、探したよ。」

「どうされましたか、アルディア王子。」

アルディアは妹のエミリアの部屋を見て、言い出しにくそうにする。


「ちょっとこっちにきて。」

テティアの手を取り、連れていく。


「あのさ、この前見つけたダルマウサギがいたろ。」

「はい、あのまん丸くて白いウサギですよね。」

「そう、あのウサギが赤ちゃんを産んだんだ!」

「え、おめでとうございます!」


アルディアがまたテティアの手を取って駆け出す。

「あ、ちょっ、」

「見に行こうよ! 可愛いから、テティアも見てよ。」

少し強引なアルディアの行為に少し照れる。


いつもアルディアは強引にテティアを色んな場所に連れ出す。

でも、テティアも悪い気はしていなかった。


大庭出た。

「ほら、見て。」

そこには、ダルマウサギを入れた飼育小屋がある。


「わぁー、可愛い!」

ダルマのようにマルッとした母親ウサギの横で小さくて丸い子ウサギたちが戯れている。

「可愛いでしょ」

「ええ、とっても可愛いです」

嬉しそうにウサギを見つめるテティアの顔を見て嬉しそうなアルディア。


ーーーーー


夜になり、王家のディナーが始まる。


大きな食事部屋に長いテーブル。

その上に、綺麗な薔薇の花がガラスの花瓶と共に食卓に色を添えている。


テティアは食卓に料理を置いていく。

「これは、国王様の分。これはエミリア様の分。これは王妃様の分、これはアルディア様の、、

「テティア、今日アルディア様と手繋いでたでしょ。」


一緒に食事の準備をする同じメイドのソフィがテティアに声をかける。

「あたし見ちゃったんだから。」

「ち、違うから!」

「隠さなくてもいいから、アルディア様イケメンだし。でもテティアにだけいつも特別な気がするのよね。」

「そんなんじゃないから!」


ソフィはニヤニヤしてテティアを見る。

「あんた鈍感だからさ、気づいてないだけじゃいの。」

「私は、別に、、そもそも私なんかに恋なんて百億万年早いっての!」

「いや、使い方おかしいから、」


「テティアは可愛いと思うよ」

急に言われてテティアは照れてビクッとなる。

「やめてよ、ソフィ」

「ほんとよ、でもその適当に伸ばした髪の毛といつも汚れたメイド服ばかり化粧もろくにできてないじゃない。」

「それは、、」

「あんたが何でも上手いことできるのはすごいし、この家で一番動くから好かれてるのは良いことだけどさ。もっと自分の時間とか自分のためにも努力しなよ。」

「私、ミスも多いし、そんな余裕なんてないよ。」


ソフィの言うことも理解できる。

自分のために何もしていない。

化粧水をする程度しか化粧もしていない。

もはや化粧とは呼ばないか。


「ありがとう、ソフィ。」

「本当にわかってる?もしも、テティアが綺麗にしてたら、アルディア王子から告白されるかもよ?」


カシャンッ!

テティアは照れで動揺して、皿を床に落としてしまう。

「あー!」

「何やってのんよテティア。」


「何をしてるの!」

王妃が悪いタイミングでやってきた。


「申し訳ありません、すぐに掃除して新しいものをお待ちします。」

「待ちなさいテティア。」

怒られる。


「申し訳ありません、カシェルナ王妃、私にも責任が、」

「あなたはいいの。」

ソフィが庇おうとするが遮られる。


「テティア、いつもよく動いてくれることはいいの。だけど、あなた失敗が多いわよ。

この前もキッチン炎魔法を使ってボヤ騒ぎを起こすし、」

じりじりと王妃がテティアに近寄る。


「テティアあなた、このままじゃ使えないわよ。」

怖い、この冷たくて落ち着いたオーラが怖い。

「申し訳ありません! 気をつけます。」

深く頭を下げて謝ることしかできない。


「あれーテティアまた怒られてるの?」

エミリアもやってきた。

「お母様、テティアは不器用で下手なだけですわよ。」

また、自然的なのか嫌味を口にする。


「テティアはいるか!」

国王の怒鳴り声がする。

「テティア! 今日掃除を頼んだ部屋に置いてあった古い壺はどうした!」

「あ、あれは、新しい物を陛下が持ってこられたので古いものは処分致しましたが、」

「何をしておるんだ! あれは魔力が付与された高価な壺なんだぞ! 捨てるつもりなどない。私に一言断ってから捨てろ!」

「も、申し訳ございません。」


「はぁ、」

王妃がため息をつきながらテティアを見る。

「す、すぐに探して来ます!」

走って部屋を出た。

「食事中に走るなと言っているのに、全く落ち着きのないやつだ。」


何も言えずソフィは見ていた。

「さあ、冷めないうちにどうぞお召し上がりください。」

頃合いを見てソフィが食事に誘導する。


「ソフィ、あなたからもよく指導してちょうだい。」

王妃がスープを飲みながら声をかける。

「はい、申し訳ありません。」


ーーーーー


テティアは外のゴミ捨て場にいた。

外は雨が降っている。

「これかな、違う。これも違う。」

ゴミ捨て場にある袋を開けて、雨に濡れながら国王の壺を探す。


もう何でいつもこうなの。

私は不器用でミスばかりするし、

『恋愛とかは百億万年はやい』といったことを思い出す。

ほんとその通りかもしれない。


でも、私だって恋もしたいし、お洒落もしたいよ!


溢れ落ちた涙目を冷たい雨が上から洗い流す。


「大丈夫?」

テティアの上に傘が。

アルディアだ。


「エミリアから聞いたよ。」

アルディアは自分の傘にテティアを入れる。

テティアはアルディアに思わずしがみつく。


今は誰かにしがみついて思いっきり泣きたいと思うほど苦しかった。

アルディアは何も言わずにテティアを抱きしめる。


ーーーーー上の窓からからカシェルナ王妃がそれを見ていた。





















読んでいただき大変ありがとうございます。


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