誕生日デート
三題噺もどき―ごじゅうに。
お題:えんぴつ・クッキー・観覧車
今日は、彼と付き合うようになってからの、初めての誕生日だった。
お互いの誕生日は、2人で過ごそうと約束し、今日がその一回目である。
彼は、結構甘党だったりする。(私は得意ではないのだが)
だから、プレゼントに―たまたま見つけて彼が好きだと言っていたのを思い出したので―えんぴつ型をした可愛らしいチョコレートと、せっかくなので手作りのクッキーを添えた。
彼は、それをとても喜んでくれ、手作りのクッキーも美味しいと言ってくれた。
慣れないお菓子作りだったので、不安だったが、喜んでくれたのは何よりもうれしかった。
彼の行きたいところにたくさん出かけた。
一日で回るのはなかなかに大変だったが、楽しかったのも事実だ。
水族館や、食べ歩き、大きなショッピングモールにもいった。
そこで、2人お揃いの服と帽子を買って、せっかくだからと、その場で1度着替え、最後に遊園地に向かった。
小さな遊園地で、時間も遅かったため、観覧車にだけ乗ることにした。
ゆっくりと、頂上へと向かっていく観覧車の中で、今日の出来事をたくさん話した。
頂上へと、近づき、景色に目を奪われていると、彼に声を掛けられた。
何かと思い、ふ―と、彼を振り向くと、
唇を奪われた。
顔が真っ赤になっていくのを感じた。
唇を離した彼の、くしゃりとした笑顔に、愛しさが溢れた。
無意識に彼をだきしめていた。
彼も、優しく抱きしめてくれた。
2人の体温が混ざり合い、温かくなっていくのを感じた
(このまま、時が止まればいいのに、)
そんなことを思ってしまった。