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2.ついてない一日

ちくしょー。そういや、今日は朝からついてなかった。



寝ぼけた勢いで、学生時代から使っていたお気に入りの目覚まし時計を叩き付けて壊してしまうし。

シャキッとしようと、コーヒー入れる準備をして、コーヒー豆を切らしていたのを思い出した。

気持ちを切り替えようと、買ってあったパンプスを初めて履こうとして、左右のサイズが違うことに気付く。

家を出てすぐ、目の前を黒猫が横切る…これは唯一の良いことだった。

朝からお猫様を見れるなんて幸せ。


出社してからも散々。

朝から、うちの課の御局様につかまり、愚痴だか説教だか嫌味だか、なんだかよく分からない、でも無駄に長い話に巻き込まれ。

精神を消耗してるところに、課長からの呼び出し。

またぎっくり腰が再発したのか、その痛みからくるイライラに八つ当たりされて。

疲れ果てて自分のデスクに戻ってきたら、営業課の人が差し入れしてくれた、私の好きなお菓子の箱だけが。中身はなかった。


気を取り直して、お昼ご飯にしようとして、玄関先にお弁当を忘れたことを思い出した。

外に出たのでは間に合わないので、仕方なく引き出しに入れてあった携帯栄養食品をモソモソと食べる。

口の中の水分全部持っていかれた。

終業間近になって、私の作った資料のミスが分かり、3時間の残業。


そして、財布の中身を抜き取られた…。



『辛いなぁ…。』


クリスマス・イブの、今日じゃなかったら。

そんな日もあるさ、と前向きになれたのに。

今日だから、クリスマス・イブの今日だから、ついてないこの一日が辛い。


いつまでも燃え尽きたボクサーではいられない。

そして、このままだと本格的に泣きそうだ。

計画してた、豪華なケーキもオードブルもなし。

コンビニで、チキンとカップのケーキを買って、今日はやけ酒だ。

最近はコンビニのお惣菜も美味しいから、期待できる。

さて、何にしようか。


頭では、前向きに色々と考えているのに、私はそこに根を下ろしたかのように、ちっとも動けなかった。

それはそう、だって、だって今日は…。



『鈴木、さん?』


掛けられた声に、バッ!と勢いよく顔を上げる。

その弾みで、溜まっていた涙が、ポロッと頬を伝うのが分かったけど、すぐに口元まで覆ったセーターに吸い込まれたので、バレてない、セーフ…。


『大丈夫!?どうしたの?どこか痛い!?』


セーフじゃなかった、モロバレだったぁ〜。

肩を掴まれてユサユサと揺らされながら、思わず遠い目をする。


読んで頂き、ありがとうございます。

クリスマス・イブの星の煌めきに負けない星をお願いします。

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