48 私のお店
次にヴェインさんが案内してくれた中央図書館に着いた私は、その蔵書の数に圧倒されていた。
中央図書館は、誰でも利用ができるということで、館内には本を読んでいる人が沢山いた。
ヴェインさんに案内されて、2階建ての図書館をゆっくりと見て回った。
二人で肩を寄せ合って、静かな館内をヒソヒソと内緒話をするように話していた。
くっついていると、いつの間にかさっきまで感じていた、謎のモヤモヤは無くなっていた。ヴェインさんから香る爽やかないい匂いのおかげなのか、私は心地良い空気に満たされていた。
いくつかの本を手にとって見ると、教わった文字で書かれているため、私でも読めそうで安心した。
ヴェインさんからの説明だと、誰でも中で本を閲覧できるけど、貸し出しは難しい条件をクリアした者のみ可能らしいのだ。
ゆっくりと館内を回っていると、いつの間にか閉館の時間が近づいてきていた。
少し名残惜しくはあったけど、私とヴェインさんは、中央図書館から出ることにした。
私の家に帰る道すがら、ヴェインさんに今日のお礼を言った。
「今日は、ありがとうございました。とっても楽しかったです」
「いや、俺の方こそ楽しかったよ」
笑顔でそう言ってくれるヴェインさんの優しい表情に、今日いろいろな店を見て思ったことを言っていた。
「あの……、今日いろいろなお店を見て決めました。私、生活に役立つものを売るお店を開きます」
そう言って、ヴェインさんの青い瞳を見つめた。
ヴェインさんは、私の頭を優しく撫でながら返事を返してくれた。
「そっか。ありがとう」
「どうして、ヴェインさんがお礼を言うんですか?」
「う~ん。だって、シズは街の人達のためにそう思ってくれたんだろう?だからかな?この街を気に入ってくれたことが嬉しいし、街に住む人のことを考えてくれたことが俺は嬉しいんだ」
ヴェインさんは、そう言って笑みを深めて、私の頭を撫でてくれた。
その後、ヴェインさんに夕飯のリクエストを聞いて、必要な物を買ってから家に帰った。
夕食が出来上がる頃に、アーくんが家にやってきた。
いつものように三人で食卓を囲んで、楽しく夕飯を食べた。
食後に、ヴェインさんにプレゼントしてもらった、ティーセットでお茶を楽しんだ。
スコーンはまた今度とヴェインさんと約束して、お茶とオレンジのゼリーを楽しんだ。
アーくんにもお店について話すと、一つだけ注意をされてしまった。
「お店に出す品についてですが、変わった物を置く時は、事前に僕たちに相談してください。それか、商業組合でもいいですから」
「変わった物?」
「はい。例えば、ポーションとかですね」
「うん。分かったよ。ポーションみたいなやつだね」
なるほど、ゲーム内アイテムの様な、不思議な物を売るときは注意が必要ってことだね。
なら、スクロールとかもだね。
それ以外は普通だし買いやすい価格で売って、街の人に喜んでもらおう。
こうして、翌日から開店に向けて動き出したのだった。
それが、あんな騒動を巻き起こすことになるなんて、この時の私は知る由もなかった。




