第2話 天使からの殺人
フラフラと重たくて疲れ切った足を動かして、自宅に到着。
死んだおばあちゃんに手を合わせて、作るの面倒だったのでコンビニで買ってきた弁当をレンジでチンして食べる。
「··········」
なんの物音もしない。聞こえるのはギャーギャーとうるさい隣の家族だろうか。家族っていいなぁ。
「··········」
別に私にどうって思い出はない。ただまとめて言えば私には家族がいないということだけだろう。
暴力を散々受けた挙句捨てられた私は孤児院に拾われて·····
今どきならば物凄く特殊という訳では無いはず。だけど、この経験から私は-家族-という存在が嫌いになった。自分では暖かそうって思って羨ましがってるのに変な奴だな私。
「·····ご馳走様でした」
私はゴミを捨てて、風呂に入って寝ようとした時、ガチャガチャと不自然な機械音がした。驚いた私はそこらに置いてあった釘抜きを手に取り音のする方に歩いていった。
「·····だ、誰かいるんですか」
そのとき後ろから物理攻撃による激痛が走った。それと同時に頭から生暖かいものが流れてくるような感じと、ドクドクドクと全身で脈打つような感覚に襲われた。
「·····な、んで」
「山田さん、ごめんなさいね。···神に頼まれた事だから」
その女の人は、シスターのかっこうをしており、まるで天使のようだった。
*
目を開けると、お線香の香りが漂う場所にいた。
「···自分のお葬式かな」
うっかり喋ってしまった私は急いで口を閉じる。だが、私の声に反応したものはいない様子で啜り泣く声しか聞えなかった。
「···あ、体透けてる。幽霊なんだ。」
ま、あんだけ血流してたら死んでるな。
そう思いながら起き上がってふよふよと浮かんでいると、とても大きな写真に豪勢に飾られた花束がいっぱいだった。
まるで王様を葬ってる場所のようでまるで私の葬式ではないような·····
「さてさて、私の遺影に使われた写真は·····誰?」
そこに写っているのは眼鏡を持って全てを見透かしたような笑みを浮かべた女の子の写真だった。
「ということは···違う人の葬式で寝てた!?」
急いで式場を出てほかの場所に向かうも自分の写真は無く、知らない人ばかりだった。それと新発見で、この式場にはコスプレイヤーが多く、むしろ黒髪を見つけることは叶わなかった。
「····もしかしてだけど、異世界転生しちゃった?」
しかし、異世界転生とは前世の記憶がある大人びた赤ちゃんとして新たな人生を生きるのが筋というものだ。
それがどうだ、私は幽霊。憶測だけど、幽霊として新たな人生を生きるということ?
逆ハー人生イージーモードに逃げられたってこと?
「···いやいや、まず自分が幽霊なんだしこれは異世界転生する前のプロローグ的なあれだろ」
私はふよふよ歩いていると今更感あるが、とある事にツッコミをいれる。
「いやいや、私髪赤!?赤毛!!」
私は自分の髪を持って髪に向かってツッコミをいれた。私の今の髪型は·····そう、まるであの一番最初に見た女の子のような髪型だった。
そんなこんな終えて、私はふよふよと遺影に写っている女の子を眺めていると、後ろから眩い光が差し込んできた。
「宣教師のご登場です!!」
「どのような魂でも···神はあなたに導きを与えてくださるでしょう」
「やばいやばい···成仏してられっかよ!」
「ならばどんな願いを?」
「見えとるんかい!」
·····まぁそれはいいとして、どんな願いか···
私はいまはこの可愛い女子になれてるということは生まれ変わりを果たせたという事だし····
願いは·····ないな!