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【79】

 あれからエルは再び学園に通い始めた。

 毎日エリーナ様と会って話を聞いてくれているみたいだがあまり役に立つような話が出ないらしく毎日疲れた顔をして帰ってくる。


(あんな疲れた顔してなんか申し訳無くなるなぁ。)


「エル、大丈夫?」


「ん、大丈夫!でも、このままじゃ何も出てこない気もするんだよね。ウィリアム殿下も何か動いてくれているみたいだから悔しいけどそっちに期待した方が良いかも。」


「頑張ってくれてありがとう。後はウィル様とも話して今後を決めましょう。このままじゃ私もダメになるだろうから明日から学園に通うわ。皆にも心配させてしまってるから元気だと直接伝えなきゃね。」


(本当はまだ男性に会うのは少し怖いけれどずっと引きこもってる訳にもいかないしね!近付かれなきゃ大丈夫だから、うし!頑張ろっ!)


「ロゼ、無理は禁物だよ。辛かったらすぐに帰ろうね。」


 私の頬を挟んで言い聞かせるようにエルは言ってきた。


「う、うん!無理はしないわ!ありがとう」











「ロゼちゃん!!!」


 勢いよく抱き着いてきたのはソフィア様だった。


「ソフィア様、お久しぶりでございます。」


「ロゼちゃん、ロゼちゃん、ロゼちゃん」


 ぎゅうっとだんだん強く抱きしめられていくので息が苦しくなってきた。


「ソ、ソフィア、さま...く、苦しい...」


「あ!ごめんなさい。あまりにも嬉しくて...ロゼちゃん」


 力は緩まったけれどそのまま抱き着いたままソフィア様は言うのでどんな顔をしているか分からないけれど多分、泣いているのだろう。


「ソフィア様、ご心配お掛けしましたわ。お手紙やお花ありがとうございます。」


「ううん、良いのよ。そんな事は!貴女が無事で本当に良かったわ。本当に良かった...」


「ロゼさまぁーーーー」


 泣きながら走ってきたのはアンリ様だった。


(いつも冷静なアンリ様があんな取り乱して...というか淑女が走るなんてっていつもなら叱っている方なのに)


 抱きついているソフィア様もいて、ボフッ!っと突進してきたアンリ様を支えきれずに倒れそうになるが後ろにいたエルが支えてくれたので倒れずにすんだ。


「アンリ様、お久しぶり。貴女にも心配を掛けてしまったのね。ごめんなさい。」


「謝らないで、くだざぃ〜」


「ふふ、あらあら。淑女が人前でそんなに大声で泣いてはいけませんのよ。」


「だ、だっでぇ」


「ありがとう、アンリ様」


 ソフィア様もアンリ様も私の為に涙を流してくれている。不謹慎だけどこんなに嬉しい事はない。

 私は何度も心の中で2人にお礼を言った。





ここまで読んで下さりありがとうございます。

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