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【78】

 エルがお願いしてきたのは


「頑張ってのキスが欲しい。」


 私にとってのエルはあの頃のまま変わらずまだ幼く私が傍で守らないと、と思う弟のような存在だった。

 でも、最近のエルは少し変わってきていると思う。身長は私よりも高くなっているし力だって強くなっている。それに今回、1番に助けてくれたのはエルだった。闇オークションの時は私が助けなくちゃ!って思っていたのにいつの間にか助けられる側にいたなんて思いもしなかった。


 あの時エルの姿を見て私は安心していたのも事実である。


 でも、まさか弟のような存在であるエルにキスをお願いされるなんて思いもしなかった。


「へっ!?」


(私の聞き間違えよね!?まさかあのエルが...ね!?)


「やっぱり...ダメ?」


 今は同じベッドで横になっている為、尻尾は分からないが耳がシュンと垂れているのできっと尻尾も垂れているのだろう。


(私、これ弱いのよね...。いや、でも...)


 あの男がチラつく。


 エルや家族には言えていない。

 あの男が私の首に顔を埋めた感覚がまだ残っているのだ。乙女である事は変わりないけれど知りもしない男に身体を触れられて首を舐められたあの感覚は気持ちが悪かった。


(あの男のせいで男が怖くなっちゃったじゃない!どうしてくれるのよー!)


「ロゼ?」


「...ごめん。違う、ご褒美、じゃダメ...かな?」


 少し震え始めている手を隠しエルに微笑むが引き攣ってしまったのは隠しきれなかった。


「...やっぱり何かアイツにされた?」


 少し低くなったエルの声に動揺しながらも否定する。


「...ううん、何もだよ。ただ、地下牢に捕まっていただけよ。」


「...僕、そんなに頼りない?」


 私が震えているのを知ってか知らずかエルは私を気遣うように優しく抱き締めてくれた。


「エル?」


「...ごめん、少しだけ抱き締めさせて」


(エルの匂い...落ち着くなぁ〜。震えてたのが嘘のように治まっていく。)


 優しい仄かなエルの香りと抱き締められた事でエルから伝わる暖かな体温がとても心地よく、私はいつの間にか眠ってしまった。









感想ありがとうございます。

落ち込んでる所に優しいお言葉を頂き少し元気になりました。

ご不快な思いをさせてしまっている方々もいるかとは思いますが少しずつ頑張っていきますので暖かく見守って頂ければと思います。

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