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【9】

「ここが私の部屋よ。たぶん、エルは私の部屋の隣になるんじゃないかしら?寂しくなったらいつでも来なさい。エルなら大歓迎よ。」


 エルの目を見てちゃんと話すようにしている。分かったのかエルは私が話す度にコクンコクンと頷いてくれるのだ。

 それが可愛くて頭をナデナデしたくなる。


「エルの髪の毛はとてもフワフワしていて素敵ね。瞳はアレンと同じ青なのね!羨ましいわ」


 そう言ってエルの頭を撫でようとした。


「っ!!!!!」


 いきなりエルが頭抱えてしゃがみ、震えだしたのだ。


「え!?どうしたの!?エル?」


(...どうしたんだろ?...あ!そういえばお父様がエルは暴力を受けていたって...もしかして)


「エル?もしかして、怖かったの?...ごめんなさい。気付かずに、大丈夫よ。大丈夫だから」


 震えるエルの身体を抱き寄せて背中をさする。


(うわぁ...私馬鹿だ。ちゃんと暴力受けてたって聞いてたのに、怖い思いさせてどうするんだよー!私の馬鹿ー!!!)


「アレン、落ち着くようなハーブティ用意してくれる?」


「はい、すぐにお持ちしますね。」


「お願い」とアレンに声掛けて今だに震えるエルに声を掛けた。


「エル、本当にごめんなさい。でも、私は貴方を傷付けないわ!...エル、私の手を見て。この手は決してエルを傷付けないから!...覚えて...」


 そう言うとエルは震えながらも顔を上げて私の目と手を交互に見てくれた。


「怖くないわ。大丈夫よ。...まだ慣れないかもしれないけれど少しずつ慣れていってくれたら嬉しいわ。」


(そして、頭を撫でさせてくれたら尚更嬉しいんだけどな~)


 なんて悪い考えもありながらもエルが私を怖がらなくなってくれたらと思う。


「今は怖いだろうけど...私の言ってる事分かってくれるかしら?」


 優しくエルに問い掛けると分かってくれたのかコクンと頷き返してくれた。


「ふふ、ありがとうエル。...アレンがハーブティを用意してくれたわ。一緒に飲みましょう?」


 頷いてくれたエルの手を握りアレンが用意してくれたテーブルへと向かった。


「アレンの入れるハーブティはとっても美味しいのよ。」


「勿体無いお言葉です。」


 エルは私とアレンを交互に見ながらゆっくりと口をつける。美味しかったのか先程までの強ばった顔が緩んだ。


「どう?エル。美味しい?」


 コクン


「エル様のお口にもあったようで安心しました。」


「飲み過ぎには注意よ、エル。豪華な晩餐がこれから待っているのだから!」


 私達は時間が来るまで他愛ない話をしながらハーブティを楽しんだ。




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