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【75】

 翌日アンナが私の元へとやって来た。


「...お嬢様...お守り出来ず申し訳ございませんでした。一緒にいたのに...。お嬢様はあんなに気丈に振舞っていらっしゃったのに、私は何も出来ずにいてしまい不甲斐ないです。本当はお嬢様に合わせる顔なんて無いのですが、目が覚めたとアレン様から聞き謝罪だけでもと...きっと役に立たない私の顔等、お嬢様は見たく無かったかも知れませんが...。」


 来たと思ったらすぐに頭を下げて上記のように謝るばかりである。


(元気になったとアレンから聞いたから今日はアンナのお見舞いと思っていたのだけど、逆にアンナが来たし頭下げてるから顔見えないし。)


「アンナ?顔を上げて」


 私の声に反応してアンナはゆっくりと顔を上げるが眉は下がっているし目には涙を溜めている。


「アンナ、私は怒ってないのよ?」


「お嬢様はお優しいのですね。ですが、本音を言って頂いて構いません。こんな不甲斐ない役立たずの侍女等と罵って下さいまし。」


「いやいや、本音って。本当に怒ってないわ。貴女の身体だけが心配なのだけど。」


「アンナ、落ち着け。ロゼ様がお困りだ。」


 私が困っていたら隣に立っていたアレンが助けてくれた。


「お前等替えは幾らでもきく。しかし、ロゼ様はとても慈悲深い方なのだ。もう少し落ち着いてロゼ様のお言葉を受けろ。」


(いや、助けてくれてない。というか、慈悲深いって何!?アレンは私を何だと思ってるのよ!)


「...あ、アレン?」


「はい、ロゼ様。少しは大人しくなりましたので遠慮なくアンナに仰って下さい。」


「遠慮なくって...。まぁ良いわ。アンナ、身体はどう?辛くない?」


「...はい。」


「そう、安心した。何か勘違いしているようだけど、私は別に貴女を解雇するつもりは無いわよ。アンナ、貴女は私専属の侍女なのよ。辞めてもらったら私が困るのよ。」


「えっ!?お、お嬢様?よろしいのですか?私は大切なお嬢様をお護りする事が出来ずに危険な目に合わせてしまったのですよ。」


「そうね。でも、あれは仕方が無い事だったし私を確実に狙っての犯行だったのだもの、無理無いわ。それに貴女が一緒に捕まって声を掛けてくれていたから私は正気を保てていたのだもの。とても助かったの。感謝しているわ、アンナ。」


「うっ...お、お嬢様ぁ〜」


 涙腺が崩壊したかのように涙を流し床に座り込んでしまった。


「まぁ、ふふ。私が解雇するとでも思ったの?」


「...お嬢様を護れずにいたのですもの。当たり前かと...それにアレン様にも覚悟するようにと言われていたので。」


 犯人はお前か!というように勢いよく後ろにいたアレンに視線をやるが、彼は聞いてないかのように視線を外している。


「ア・レ・ン?」


「はい、何でしょうか?ロゼ様。」


「なんて事をアンナに言っているのよ!危うくアンナが辞める所だったじゃないの!」


「私はロゼ様が1番なのです。」


 先程まで視線を外していたアレンだが、今度は私の目を見つめて当たり前かのように言ってきた。


「それがどうしたのよ。」


「主であるロゼ様が1番なのですよ。そんな大切なロゼ様が危険な目に合う事などあってはならないのです。なので、今回危険な目に合わせたアンナはそれ相応の罰を与えてやらねばいけないかと。」


「...アレン、何か重いわ...。というか、別に罰とか与えなくて良いから!...でも、2人共それでは納得してはくれなさそうね。」


 私は特にアンナに罰等与える必要は無いと思っているが、アンナ自身は私を助けられなかった。という負い目があり納得しなさそうである。

 それにアレンもアンナを許していない雰囲気がビシビシと伝わってくる。


(アレン、何処でこんなに過保護に!?...あっ、あれか...確実にあれよね。闇オークションの誘拐よね。アレン、私専属執事としては本当に心強いけど少し重いわね...。)


「...そうねぇ。あ!なら、アンナも少し身体を鍛えるとかはどう?護身術覚えるとか?」


「でしたら、ゲルマ様の朝の鍛錬を私共と一緒に行いましょう。それなら私も納得できます。如何ですか?ロゼ様。」


 如何ですか?と私に聞いているはずなのに全く私の意見を言えるような空気では無い。アンナもヤル気満々だし、アレンなんて有無を言わせない何かを出してて『はい』としか頷けなかった。


(おじい様の朝の鍛錬をアンナも一緒になんて...男でもキツそうなのにアンナ大丈夫かしら...。)



 早速アンナはおじい様に話をして朝の鍛錬に付き合う許可を得たらしい。おじい様は鍛錬者が増えて嬉しそうでどういったメニューにしようかニコニコしながら考えていた。



「...アンナ、無理はしないでね?あくまで護身術程度にしてね。私の世話はアンナでなければ嫌よ!」


「はい!お嬢様。私、鍛錬を頑張りお嬢様を侍女としてそして、護衛としてお護りしますから!」


 アンナの行く末が少し心配だが、ヤル気満々の侍女を止める事が私には出来なかった。






ここまで読んで下さりありがとうございます。

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