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【73】

 翌日には体調も良くなりお医者様からも無理をしなければ大丈夫と言われたのであの好色...変態...ダミエル伯爵についてちょうどウィル様が屋敷を訪れてくれていたので教えて貰える事になった。


「やぁ、ロゼ元気になって安心したよ。ソフィアも倒れるんじゃないかって位、心配していたからまた日を改めてお見舞いに来るよ。まだ学校へは行かないのだろう?」


「ありがとうございます。はい、もう少しお休みさせてもらうつもりです。」


「まぁロゼが行きたがった所で公爵もゲルマ殿もラウス殿下達も皆止めるのが目に見えているがな。」


(...うっ、確かに否定は出来ない。)


 お父様とおじい様、エルが来た所でウィル様が詳細を話してくれた。


 お父様とルドルフがダミエル伯爵を捕らえて“親切な少女”について聞いたらしい。

 ただ、名前は聞いていないしフードを被っていたので顔も分からないらしい。唯一分かるのは声らしい。何ともあまりにも役に立たない奴である。


「声のみ、ですか。...どんな声だったのですか?」


「ダミエル伯爵が言うには可愛らしい高めの声で偶に語尾が伸びたりしていたそうだ。その女がロゼに確実に薬を盛るように。と何度も言ってきたらしい。」


「ロゼを狂わせたかったという事か。しかし、何故ロゼなんだ?まぁアイツはたまたまあの日は闇オークションに参加していなかったから現行犯で捕まえられなかったが、常連だったらしいからな。やっと捕まえる事が出来て良かった。...どちらもロゼが犠牲というのが悔しいが...。」


 お父様が拳を握り苦虫を噛み潰したような顔で俯く。


「ダミエル伯爵は結構前からロゼに目を付けていたようだ。それを知っていた、という事になるな。その女は。」


「その人は私に何か恨みでもあるのでしょうか?そうでなければ私個人を、なんて真似しませんわよね?」


「うん、確実に。とは言えないけど多分ロゼ個人が気にくわないのだろう。...今回の誘拐監禁と良い、学園での嫌がらせ行為は何か繋がっている気がすると私はみている。」


「ん?殿下、学園での嫌がらせ行為とはなんじゃ?」


 今まで大人しく聞いていたおじい様が口を開く。


「う、ウィル様っ!!」


 私は学園での嫌がらせ行為もそうだが屋敷に私宛に届く不気味な手紙やあの人形の事をお父様は勿論、おじい様にも知られたくなかった。


「...どういう事だ!?」


「...お父様、その...」


「まだ不気味な手紙だって届いているのだろう?あの奇妙な人形だってあるんだ。ロゼ、君は今回誘拐と監禁もされたんだ。話しておいた方が良い。」


「...はい。」


 ウィル様が少し前から学園で軽い嫌がらせ行為を私が受けている事と不気味な手紙とあの下手な名前入り刺繍の人形の事を話した。

 その手紙と人形はアレンが持ってきてくれた。


「ロゼ、何故この事を私達に言わなかったんだ?」


「......。」


「ロゼは貴方方が大事だからこそ言えなかったのだと思います。」


 隣に座っているエルが私の手を握り締めてくれながらお父様達に話をしていく。


「大切だからこそ言えなかったのだと、この事についてあまりロゼを責めないであげてください。」


「...お父様、ごめんなさい。...お父様凄く忙しそうだったし、お母様もリベルが産まれて大変そうで...リッカーお兄様も色々忙しそうに動いてたから、迷惑をお掛けしたく無かったのです。学園の嫌がらせなんて私1人で解決出来るとも思っていました。公爵家の娘がただの嫌がらせ如きで翻弄されてるなんてそんな恥ずかしく情けない事を知られたくなかったのです...。」


「ロゼ...すまない、お前の気持ちを考えずに。ただこれだけは知っていて欲しい、私達の大切な娘なんだという事を。だからこれからはどんな些細な事でも知らせてくれ。私達が忙しくてもロゼの為にちゃんと時間は取るから、良いね?ロゼより大切な仕事なんて有りはしないんだよ。」


 お父様はそう言って席を立ち私の元までくると優しく抱きしめてくれた。

 お父様とこんなに話をしたのはいつぶりだっただろうか?今回の事が無ければこれからも向き合って話す事は無かったかもしれない。小さい頃は甘えてお父様やお母様の所へ行き話をしていたけれど、私が学園に通うようになりリベルが産まれてからだんだん家族での時間が無くなって行った。

 それは少し寂しい事だったけど仕方ないと思っていた。


 だけど、それは違ったみたいでそれは昨日実感していた。昨日お父様とお母様に抱きしめられてホッとしたし、甘えたくもなってしまった。


(やっぱ自分、寂しかったんだなぁ。前世では家族との時間なんて取らないのが当たり前だったから今世でも平気だと思ってた。でも、前世も今世も家族の愛を欲していたみたいね。次からはちゃんとお父様やお母様に話を聞いてもらう事にしよう!)


「お父様、ありがとうございます。」


 心からのお礼をお父様に言って私も抱き締め返した。





ここまで読んで下さりありがとうございます。

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