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ラウス(エル)視点②

 階段を降りていくと



「さぁ、おいで。私の手を取れば全て上手く行く。」



 男の声でロゼに語りかけているのが聞こえた。

 だから僕はとったさに叫んでしまった。


「何が手を取れだ!!!」


 僕が見たのは目を疑う光景だった。

 いつも僕に優しい笑みをくれるロゼが手と足に枷を付けられて檻の中に入れられて涙を必死に堪えて震えている。


 今すぐにでも駆け寄って抱きしめてあげたい。

 大丈夫だ。と、安心して。と声を掛けてあげたい。


 きっと怖かっただろう。今まで貴族のお嬢様として皆に可愛がられて来たロゼは当たり前だけどこんな場所なんて知らないだろうし、縁なんて無いはずだ。僕だって話では聞いていたけど自分の目では見たこと無かった。

 こんな罪人が入るような地下牢に閉じ込められて手と足を拘束されて、足には重りまで付いている。


 ロゼにこんな仕打ちをした目の前にいる男が許せない。



「...エル」


 ロゼは僕に気づくと安心した顔をしてくれた。

 僕の後には続いて着いてきた人達の顔を見てロゼは泣きそうな顔に変わった。


「ロゼ、遅くなってごめん。すぐ助けるから!」


 皆が口々にロゼに声をかけて行く。


「な、何なのですか!無断でここへ立ち入るなんて!ローゼリアは私の物だ。誰にも渡さない。私のコレクションの1つに加えるんだ。あぁ、そこの隣の牢屋にいる侍女は返しますよ。それで良いでしょ?」


 僕の怒鳴り声や公爵達の怒りの雰囲気に狼狽えていたくせに僕達がロゼを迎えに来たという言葉にこの男は目の色を変えた。


「寝室や別館にいたお前の妾達は保護している。事情も聞いている。その薬は何処から手に入れた!?」


 騎士の調査で分かっていたのでルドルフの騎士の仲間が別室にいた女達を保護に行っていた。それに確か報告では、別室にいた女達の部屋は異様な匂いで女達も焦点があっていないものが多いと聞かされていた。

 だから公爵はこの男に聞いているのだろう。


「あぁ、この薬?親切なご令嬢がこの薬をくれたんだ。役に立つからって。出来ればローゼリアに使って欲しいような事を言ってたけど、すぐに彼女に試すのは怖かったから他の女共に使ってみたんだ。」


 親切なご令嬢...何か引っかかるがとりあえずロゼに使われていなかったのは幸いだ。


「ダミエル伯爵、この屋敷は騎士団により包囲されてます。彼女達の証言やローゼリア様とその侍女の誘拐監禁で連行します。ウィリアム殿下からも書状があります。」


「チッ、私のローゼリア。私は捕まってしまうようだ。君と離れるなんて...ねぇ一緒に逝こうよ。」


 何が私のローゼリアだ!ロゼは僕のなんだ!

 こんな気持ち悪い奴に触られているなんて僕は耐えられなくなりこの男の元へと走っていた。


 ロゼの方に向いていた為、僕に気付かずにいるのを良い事に僕はこの男を思いっきり蹴るとドンっ!という音と共に壁へ当たりすぐに気を失った。

 思っていたより呆気なくこの男は気を失ったから僕は思いっきりロゼを包んだ。


「ロゼ、ロゼ...ロゼ。」


 この数日会えなかったロゼにやっと会えたのだ。

 ロゼが捕まっていると聞いてからおかしくなりそうだった。でも、やっと目の前にロゼがいる。僕の手でロゼを助けられた...。


「うっ...た、すけに...来てくれて...」


 ロゼは安心したのか僕の腕の中で気を失ってしまった。


「安心したのだね。後は私に任せてロゼを屋敷に連れて行って下さい。」


 きっと親である公爵も一緒に帰りたいだろうがこの事件の処理などもあるから今すぐ一緒にとはいかないみたいだ。


 ロゼの侍女であるアンナもアレンが救出して公爵とルドルフを残した残りの者で帰ることになった。





ここまで読んで下さりありがとうございます。

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