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【71】

 突然聞こえた怒号に私だけではなく、ダミエル伯爵さえもビクっと肩を震わせた。


「な、なんだ!?」


 数人の階段を降りてくる音と共に姿を表したのは



「...エル」



 それにお父様、おじい様、アレンやルドルフまでいた。お父様とおじい様は今にもダミエル伯爵に掴みかかりそうな形相であるしアレンや騎士の服に身を包んだルドルフは心配な顔をしていた。


「お主、我が孫娘に」


「ロゼ、今助けるからな!」


「...おじい様...お父様...」


「ロゼ、遅くなってごめん。すぐ助けるから!」


「エル...」


「ロゼ様、アンナも一緒にここからすぐ出ましょう。」


「えぇ...」


「助けが遅くなり申し訳ありません。」


「ルドルフ、貴方も来てくれたのね。」


「な、何なのですか!無断でここへ立ち入るなんて!ローゼリアは私の物だ。誰にも渡さない。私のコレクションの1つに加えるんだ。あぁ、そこの隣の牢屋にいる侍女は返しますよ。それで良いでしょ?」


 先程まで狼狽えていたのに私を迎えに来たという発言に目の色を変えてお父様達に牙をむき出した。


「寝室や別館にいたお前の妾達は保護している。事情も聞いている。その薬は何処から手に入れた!?」


 他の方々も保護されているとお父様の言葉で分かり安堵する。


「あぁ、この薬?親切なご令嬢がこの薬をくれたんだ。役に立つからって。出来ればローゼリアに使って欲しいような事を言ってたけど、すぐに彼女に試すのは怖かったから他の女共に使ってみたんだ。」


「...クズじゃな。」


「ダミエル伯爵、この屋敷は騎士団により包囲されてます。彼女達の証言やローゼリア様とその侍女の誘拐監禁で連行します。ウィリアム殿下からも書状があります。」


「チッ、私のローゼリア。私は捕まってしまうようだ。君と離れるなんて...ねぇ一緒に逝こうよ。」


「ヒッ!や、やめて...来ないで」


 ダミエル伯爵はくるりと私の方へ向き直し私の首へと手をかけた。


「貴様!」


 ドンっ!と物凄い音と共に目の前にいたダミエル伯爵は気を失ったのか横に倒れていた。そして暖かい何かに私は包まれた。


「ロゼ、ロゼ...ロゼ。」


 エルが私を抱き締めてくれていた。


 エルの身体は暖かいが、とても震えていた。私の存在を確かめるように強く抱きしめる。


「うっ...た、すけに...来てくれて...」


 先程までの助からないと思っていた恐怖とその後の助かったという安堵感からか一気に身体の力が抜けていき私はいつの間にか意識を手放した。




ここまで読んで下さりありがとうございます。

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