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【60】

今回軽く動物虐待をにおわせる部分があります。

苦手な方はご注意下さい。


 屋敷に戻るとエルトとリッカーお兄様が出迎えてくれた。


「ただいま。リッカーお兄様、エルト」


「おかえりなさい。ロゼちゃんに手紙が届いてますよ。」


「まぁおばあ様からだわ。...後は誰かしら。」


 リッカーお兄様にお礼を言って、エルに部屋へ行くと伝えてエルトと自分の部屋へと向かった。


「おばあ様からのお手紙なんて久しぶりだわ。...おじい様と一緒にリベルに会いに来るのね。おじい様エルトの事、凄く気に入っていたものね。エルト、おじい様とおばあ様が会いに来るそうよ、楽しみね。」


 お父様のおじい様とおばあ様は領地に引っ込んでいて2人でのんびり暮らしている。たまに王都の屋敷に遊びに来る事もあるけれど、基本的に私達が会いに行く事が多い。今回は産まれたばかりの妹がいる為、領地に戻らなかった。だから、今回会いに来るのだろう。


「もう1枚は誰から?」


 差出人が書かれていない手紙だ。


「差出人が無い手紙って...あの事を思い出すから嫌なのよね。」


 私はその差出人がない手紙を恐る恐る開けていく。


「!?」


 声にならない声が出てしまった。


 手紙に赤い文字で書かれていたのは『消えろ』というただ、一言だった。


「...また『消えろ』。それにこれ血で書かれているようね。本当に血なのかしら!?...気味が悪いわね。」


「くぅーん」


「...ありがとう、エルト。大丈夫、よ。」


 エルトは心配そうな鳴き声と共に前足を私の太ももに掛けて私の手を舐めてくれた。


「...アレンとかアンナを呼ばなきゃね。」


 すぐにアレンとアンナを呼んで手紙を見せた。


「きゃっ」

「これは...」


 血で書かれたような文字を見たアンナは顔を青くして固まり、アレンは手で口を押さえていた。


「これは、悪質ですね。ロゼ様にこんな事をする奴がいるなんて。学園での嫌がらせと同一犯かと思われるので学園でもお屋敷内でもあまり1人での行動は控えるようにして下さい。」


「...えぇ、そうするわ。家の中では必ずエルトがいてくれるし、すぐにアレンやアンナも駆け付けてくれるけど...学園ではそうも行かないのよね。」


「そうですね。私やアレン様はクラスというか別館になりますから中々一緒にお嬢様と行動出来ませんよね...。お嬢様、成る可くご友人であるラウス殿下、ソフィア様、アンリ様、ルーカス様、ユリアス様等と行動を共にして下さいませ。私も成る可く学園でもお傍に仕えるように致しますので!」


「ありがとう、アンナ。頼むわね。...とりあえずエルにも報告しとかなきゃ。」


「お呼びして参りますね。」


 アンナがエルを連れてきてくれた。


「ロゼ!?大丈夫!?」


 扉が開くと共にエルが勢いよく入ってきた。


「ラウス殿下、淑女の部屋にそう勢いよく入ってきてはいけません。」


 アレンがエルに説教するが、エルは気にせずに私の元へとやってきた。


「アンナから嫌がらせの手紙が来たと聞いた。怪我とかはしてない?手紙、見せて」


 アレンが持っていた手紙を取り、匂いを嗅いでいる。


「...これ獣の血だ。手紙も獣の匂いが強すぎて誰が書いてるか分からないな...。」


「獣、の血?」


(という事は、この手紙の為だけに動物を傷つけたって事!?なんて酷い事を!)


「ラウス殿下、学園では授業以外は成る可くロゼ様とご一緒にいて欲しいのですが...」


「当たり前だよ!今以上にロゼの傍にいるからね。」


「...ありがとう。心強いわ。アレンもアンナも、ありがとう。本当に助かるわ。もちろん、エルトもよ。」


 エルは私の頭を撫でてくれてエルトは私の足にスリスリと頬擦りをする。





ここまで読んで下さりありがとうございます。

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