【54 】
少し少なめです。
あのアレク様とアンリ様の婚約破棄事件で私も私もというご令嬢が何人かいて皆婚約破棄になったと聞いた。
他にもエリーナ様の発言によって本気で好意を寄せてたり付き合っていたと思っていた殿方達はエリーナ様から離れていった。それでもめげずにエリック殿下とルドルフ、ラウス殿下に声を掛けて媚を売っているらしい。
「はぁ、あれで少しは落ち着くかと思ったけれどエリーナ様はエリーナ様みたいね。」
「強靭な心臓の持ち主みたいね、エリーナ様って。あの子、何がしたいのかサッパリ分からないわ。未だにウィル様を見つけたら飛んでくるし、...でも」
「何か気になる事が?」
途中で考えるような仕草をするソフィア様は、私の考えすぎかもしれないのだけれど、と前置きをして。
「睨んでくるようになったのよ...。以前だったら私の事など眼中に無いようにウィル様に話し掛けていたのに、私が傍にいると親の仇のような瞳で此方を睨んで来るの、何だかあの瞳は恐ろしいわ...。」
「...確かにソフィア様の言う通りかもしれません。私の場合は1人でいる時でもずっと睨まれていますが。前はそんな事無かったのです。」
「何かあったのかしら?...アレク様の件は落ち着いたとはいえ、エリーナ様の事はこれからも警戒していた方が良いわね。ロゼちゃん、気を付けてね。」
「はい、ソフィア様もお気を付け下さい。」
「あ!ローゼリア様、ソフィア様」
明るい声で話しかけて来たのはアンリ様だった。
「アンリ様、お元気そうね。」
「はい、あの時はローゼリア様、本当にお世話になりました。ありがとうございます。」
「それでアレク様はどうなりましたの?学園に来ていないと伺ってますが。」
「そうなのです、ソフィア様。アレク様のお父様が鍛え直す。と言って数ヶ月間お屋敷で徹底的に鍛えるそうです。そして、ある程度矯正出来たら隣国であるアーステル国に留学させて視野を広げさせるそうなのです。」
「あら、てっきり次期宰相の座は無くなったかと思ったけれどそうでは無いのね?」
「いえ、宰相を継ぐのはアレク様の弟君に決まりました。アレク様はその補佐という事になるそうです。」
ふふ、良い気味ね。とソフィア様が悪い顔をしながら微笑んでいるが見なかったことにしてアンリ様に婚約者について問う。
「婚約者は...その...アレク様の弟君になりました。前々から私の事を慕ってくれていたようで...2つも私の方が年上なのでお断りしようと思ったのですが...」
と言って頬をだんだん赤らめていくアンリ様はとてもお可愛らしい。
「アンリ様の事をちゃんと思ってくれているのね。安心したわ。」
「全部ローゼリア様とソフィア様のお陰です。感謝しても足りません。」
瞳を潤ませて詰め寄って来る。
「そんな大袈裟よ。まぁ、私もアレク様達には悩んでいたから助かったわ。」
(それより何よりアーステル国に留学とか羨ましいのだけど!あっちの学園に入学すれば良かったなぁ。...来年エルも帰っちゃうしソフィア様も卒業しちゃうなら留学しようかな?お父様と相談ね!)
「まぁ大問題児であるエリーナ様がまだ何かしそうだから気を付けなければいけないけれど、一応解決して良かったわ。」
「そうねぇ、ロゼちゃんや私に対しての言動が酷くなりつつあるのは確かだものね。一応アンリ様も気をつけて過ごして頂戴ね。まぁアンリ様に何かあるってのはさすがに考えられないけれど...。」
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