表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/129

【53】

誤字脱字報告ありがとうございます。

ブックマークや評価等、とても励みになります。

ありがとうございます!

「ねぇ、アンリ様?」


 クラスの誰かが呼びに行ったのであろうアレク様の婚約者であるアンリ様は教室の扉に此方を伺うように佇んでいた。


「...アレク様」


「アンリ...何故君がここに!?」


「アレク様...次期宰相と言われている貴方様が何故ローゼリア様に有りもしない罪を突きつけているのですか?...証拠も無いのに。」


「証拠はエリーナ嬢がいつもローゼリア嬢にやられた。と仰っていた。」


「それは証拠にはなり得ないでしょ?そんな事も分からなくなってしまったのですね...。アレク様、私は貴方様と婚約してからずっとお慕いしておりました。父親の跡を継げるように、と私に夢を語ってくれたあの時のアレク様はとても眩しくて私も釣り合うように、と思っておりました...ですが、最近のアレク様は勉学よりもエリーナ様ばかり...」


「俺は真実の愛を見つけたんだ!」


「は?」


(や、ヤバい!!素、素が出ちゃった!!)


 教室にいる誰もが思ったようで私に視線が来る事は無かった。


「...アレク様、真実の愛とは...エリーナ様にという事ですか?だから、私とお会いしてくれないのですね。」


 アンリ様は持っていたハンカチを目元に持っていく。


「うん」


 教室は正しく修羅場と化しているのに廊下から楽しそう声が近付いてくる。


(当事者では有るけど今は来て欲しくなかった奴が来たよ...)


「ふふ、エリック様ぁ~...ん?皆さんどうされたんですかぁ~?空気とっても重たいですぅ~」


(空気読めよ!)


「あぁ~愛しのエリーナ嬢!待っていたよ。」


「アレク様ぁ~何かあったのですかぁ~?」


 エリック殿下から離れて今度はアレク様の腕に巻き付く。


「...アレク様!貴方様のお気持ち確かに伝わりました。なので、私達の婚約は破棄致しましょう。」


 アンリ様は涙がこぼれないように必死に身体に力を入れてアレク様を睨む。


「...あぁ構わないよ。」


「後、この事はもうアレク様のお父様にも報告済みです。」


「ふふ、アレク様のお父様はとても誠実な方ですのね。アンリ様お一人ではと思い微力ながらお手伝いさせて頂きましたの。『婚約者がいるのに他の女に現を抜かすような奴はワシの息子では無い!』だそうですよ。あ、そうだ!アレク様安心してくださいませ、元婚約者であるアンリ様に相応しい殿方を此方でお探しさておりますので。アレク様のお父様も協力してくれるそうですし、もしかしたら次期宰相は弟君になるやもしれませんから弟君の婚約者になりそうですわね。」


 私は呆然とするアレク様には目もくれずにアンリ様の横に行く。

 エリーナ様はアレク様から1歩離れようとして近くにいるエリック殿下へと手を伸ばす。


「おい、どういう事なんだ?説明してくれ」


(うわ、もう1人空気読めない奴がいたよ...)


「エリック殿下、アレク様は婚約者がいる身でありながらエリーナ様と仲を育んでいらっしゃるので婚約者であったアンリ様はそれはそれはおツラい想いをしておりました。ですが、アンリ様の御両親はもちろん、アレク様の御両親からも了承を得て只今、婚約破棄をしたのです。ご理解頂けました?」


「...ん?エリーナ嬢とアレクは恋人同士なのか?」


(え!?そこに食いつくの!?)


「僕はそうなのだと」


「だが、エリーナ嬢は私が1番だと言ってなかったか?...ん、だが、先程はラウス殿下の所にも言っていて愛していると聞こえた気がしたが...アレクが本命なのか?」


 本気で意味が分からないようでエリック殿下は混乱し始めた。ただ、可愛がってはいるもののエリーナ様に恋心が無いようで怒り狂うことは無く単純に疑問に思った事をエリーナ様に聞いていた。

 他の殿方も言われた事があるようで俺も俺もと口々に言いだした。


(うわ!エルの所にもう行ってたの!?物凄く嫌がってる顔が目に浮かぶなぁ)


「ちょ、ちょっと待って下さい~!エリーナであるこの私が誰かを選ぶなんてそんな事出来ないですよぉ~!私にとって皆さんとても素敵な方ばかりで1番なんですから~!」


「...え、エリーナ嬢、僕と婚約してくれるんじゃなかったの?」


 エリック殿下の所に避難していたエリーナ様の腕を掴みアレク様は問いただす。


「え~?そんな事言ってないですよぉ~!痛いですぅ~離してください~」


「そ、そんな...」


 アレク様はエリーナ様の言葉が信じられないようでその場に力無く座り込んでしまった。


「...なんていうか、悪女ね」


 私がため息混じりで呟いたのをアンリ様がうんうんと頷いてくれて、ユリアス様やルーは女って怖い。と呟いた。


 ルドルフが私達の所にやって来て大丈夫か?と聞いてきたが私よりもアンリ様の方が精神的に疲れているだろうと思い、心配してくれたルドルフにお礼を言って私とアンリ様とルーは教室を出て休憩室へと向かった。




ここまで読んで頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ