【51】
エルがアーステル国へ帰っていってしまったが春にはまた会えるから良しとしよう。
あの事件以降、学園の皆が凄く優しい。あのエリック殿下でさえも私を気遣ってくれる。ただ、エリーナ様の目つきは前にも増して鋭くなっていたので油断は禁物である。
大きな事件も起きないまま新入生が入ってくる時期となった。
私達は進級したがクラスはあまり変わり映えしないメンバーだった。
ルーもユリアス様もルドルフも...エリック殿下やエリーナ様、アレク様まで変わらずなのだ。
未だにエリック殿下には婚約者になって欲しい。と上から目線で言われるしエリーナ様にも早くエリック殿下の婚約者になれ。とヒステリーを起こされるから胃に穴が開きそうだ。
と、まぁ悪い事ばかりでは無くて、やっとエルが学園に入学してきて1年間は一緒に屋敷で暮らすので凄くワクワクしている。
それにお腹が大きかったお母様は少し前に女の子を出産した。私に可愛い妹が出来て家族みんな可愛い妹に夢中なのだ。
だから、申し訳ないがエリック殿下達に構っている暇がない。
「どうしよう、アレン」
「何がですか?」
「エルが来てくれて嬉しいし、エルトは可愛いし、妹のリベルは天使だし...私、幸せ過ぎて怖いわ。学園なんか行きたく無いのだけど。」
「まぁそれは分かりますが、学園には行きましょう。」
「エルトともリベルとも離れたくないのよ。アホで馬鹿な人達の相手をするのも疲れるわ。いつか本当に胃に穴が開くと思うの。」
「...それはもしや、エリック殿下方の事で...?」
「他にいないでしょ。」
「...私やアンナがロゼ様に近付けないようにとはおもっているのですが、中々手強いのですよ。あの方々...。」
難しいですね。とアレンは笑っているものの目は全く笑っていなくて寒気がした。
「2人が私の為に色々と尽くしてくれているのは分かるから。ありがとう」
「いえ、本当でしたら抹消したいんですけどね。申し訳ありません。」
アレンは私の事になると少しおかしくなるのでこの話はここで強制的に終わらせた。アレンを犯罪者になんかしたくない。
「ロゼちゃん」
「ん?お母様、どうなさったの?」
「リベルが全然泣き止まなくて...庭にでも来たら泣き止むかしらと思ったのだけど」
リベルは凄く良く泣く子でお母様は目の下にクマがくっきりと出ていて見ていてツラい。
私は全く泣くことなくすやすやと寝ていたらしく凄く楽だったと話していた。
「お母様、私では力不足かと思うのだけど良ければ私が面倒見るから少し休んでは?」
「いいの...?そうね、少しだけ休ませて貰おうかしら。ありがとう、ロゼちゃん」
リベルを預かり少しすると泣いていたリベルはだんだん大人しくなりいつの間にか眠ってしまった。
「あら、寝ちゃったわ」
「ロゼ様、子守りの才能があるんですね。」
「ロゼ」
宿題が終わったらしいエルが嬉しそうに尻尾を降って私の所まで来て、私がリベルを抱っこしてるのを見て小声で話しかけて来た。
「ふふ、見てエル。可愛い天使の寝顔よ。」
「うん、とっても可愛いね。ロゼによく似ている。」
「私はこんな可愛くないわよ。...リベル本当に可愛いわ」
「ロゼは天使というより女神って感じだよね。」
「褒めても何も出ないわよ。」
寝てしまったので侍女に任せようと思っていたが私の袖の裾をギューっと握っていたので引き剥がすのは可哀想だと思い、リベルが起きるまでずっと抱っこしていた。
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