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【49】

 エルがせっかくロゼに会えたからロゼに学園の案内をお願いしたい。と言いだしたので心配してくれた皆にお礼を言って別れ、エルに学園の案内をし始めた。


 ソフィア様はずっと心配して下さって私と離れたがらなかったけれどウィル様がラウス殿下が傍にいるから大丈夫だ。と仰って下さり不服そうにしながらも離れてくれた。


 アレンやアンナも着いてくると言ったけれどエルがロゼと2人が良い。と言ったので授業に戻って行った。ルーとユリアス様も自分の教室へ戻って行った。


 私は今回の事もあり、それにラウス殿下自ら私に案内して欲しい。と言ったので今日の授業は出なくて良いらしい。案内が終わればすぐに帰って良いそうだ。


「後は何処が知りたい?一通りは案内出来たと思うけど」


「特には、ロゼと一緒にいれればそれで」


 案内中もずっとエルは私と手を繋いでいて尻尾がユラユラと揺れて嬉しいのが伝わる。


「相変わらずね、エルは。身長と声が変わっていて驚いたけれど後は変わってなくて良かった。それにエルの声がたくさん聞けて嬉しいわ。」


「ロゼは一段と綺麗になってて焦ったよ。前は可愛らしい女の子だったのに、今は美しい大人の女性になってる。...あの時みたいにロゼを守れないのが嫌だったから国に戻ってから一生懸命剣の稽古頑張ったんだ。獣人だから元々の能力は高いけれどそれでももっと強くなりたくて。」


 エルとは思えないような甘い言葉を発してきて気が気でなくなる。

 それに、可愛らしい獣人の男の子だったエルは今では程よい筋肉がついていて凛々しくなっていて大人の男の人になりつつある。




「なっ!!な!!なんで隣国のラウス様がいるのですかぁ~!!!!」


 大きな声をあげてこっちに走って来るのは言うまでもないが...エリーナ様だった。


「淑女が大声で走るなどはしたないですよ。」


 私の注意など気にする風もなくエル目掛けて飛びかかる。


「なんでここにいるのですかぁ~!?...まだそのイベントじゃないのに!...まぁ良いわ!ラウス様ぁ~私、エリーナって言いますぅ~」


 エリーナ様は私からエルを離してエルの腕に自分の腕を絡めてくっ付く。


 それを見つめるとチクっと胸が痛む。


(な、んだろ。この痛み...変なの)


 私はその痛みに気付かないようにエルとエリーナ様を見つめる。


「触るな」


 すぐにエリーナ様からエルは離れて私の肩を抱く。


「な、なんでですかぁ~!?そんな女より私の方が良いに決まってますぅ~」


 私を睨みながらもエルには甘ったるい声で上目遣いで見上げているという全く器用な人だ。


「エリーナ様、貴方ラウス殿下に失礼ですわよ。それに子爵家の方に私の下駄箱に花を入れるようにしたのは貴女だったのですね。」


「ふん、だったら何!?好きな人がいるって悩んでいたから助言しただけ、ですよぉ~」


(本性出てる出てる。馬鹿なのよねぇ、まぁ助言だけで罪になんてならないしね。他にもやらかして来そうだから嫌なのよねぇ)


「お前が」


 不機嫌だったエルの声はもっと低くなりエリーナ様を睨みつける。


「た、ただ助言をしただけですよぉ~ラウス様ぁ~」


 またくっつこうとしてエリーナ様はエルに手を払われた。


「今後一切俺のロゼに近づくな。」


 冷ややかな目でエリーナ様を見つめた後、私に向き直り頭を撫でてくれる。私を見つめる瞳はとても暖かく優しい。


「ちょ、え、エル?俺のって!?」


「んー?へへ」


 と、笑うだけで何も答えてくれず終いにはロゼの屋敷に帰ろうと言いだした。





「...許さない。ラウス様は私の物なのに!」








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