【47】
「おい、何をしているんだ?」
「き、君に関係無い、だろう!どっか行ってくれよ!ぼ、僕はローゼリア様と、話をしているんだ!」
「ローゼリア、だと?」
「そ、そうだ!ローゼリア様は僕のなんだ!お前は何処かへ行けよ!」
「いや、それなら尚更何処にも行けない。」
(ちょっと待って!誰が“僕の”なのよ!というか、彼は誰なのかしら?ルーやルドルフとも声が違うし、先程まで一緒だったユリアス様とも違う。でも、私の事を彼は知っている風なのよね。)
「な、なら僕達が何処かへ行く!来て、ローゼリア様」
両肩から手を離して私の手首を掴むのだが、私の手首を掴む彼の手は汗ばんでいて湿っぽい。
「い、行かないわ。お願い、離して」
何処へ連れて行かれるのか分からず恐怖が襲ってきて自分の手首を離そうとしてもブルトの掴む手は強く中々外せない。
「彼女を離せ」
ドスの効いた低い声が響く。
「い、いやだ!ローゼリア様は僕のなんだ!」
逆光の彼は後ろから私を抱き寄せた。
「彼女が痛がっているだろう。」
私は逆光の彼に後ろから抱き寄せられているので顔を見ようにも難しい。ブルトの手首を彼が掴むと“ミシミシ”という音と共にブルトが悲鳴をあげる。
「リア!」
「ロゼ様」
「お嬢様」
「ロゼ」
「ロゼちゃん」
息を切らしてルー、アレン、アンナ、ウィル様、ソフィア様が来てくれた。
「み、みんな...」
「どういう事だ?」
ウィル様が悲鳴を上げているブルトと私、そして私を抱いている彼を見て状況を説明して欲しいという顔をしてきた。
「そこの彼がロゼに怖い思いをさせた。」
「君は...」
「ロゼちゃん、大丈夫!?」
ウィル様が何か言う前にソフィア様が涙目で私に抱きついてきて、アレンとアンナがブルトを拘束している。
(アンナ、貴女何処にそんな力があるの!?)
「リア、俺言った。1人になるなと!」
「ご、ごめん...まさかこうなるとは思ってなくて。そ、そうだ!貴方は...?」
助けてくれた彼にお礼を言おうと思い彼から離れようとすると彼の抱きしめる力が強まった。ソフィア様も退いてくれない。
「あ、あの?」
「ロゼ、良かった。心配したんだよ。」
「え?...あの、」
「覚えてない?そっか声変わりしたから声だけ聞いても分からないよね。」
そう言った彼は“尻尾”を私の手に触れさせた。
(尻尾を触った所で...尻尾...しっ...え!?)
「尻尾!?え!?ど、どういう事?」
「はは、ロゼ混乱してる。」
「...も、もしかして...エル?エルなの!?」
振り向こうともソフィア様はビクともしないし彼は私の頭に頬擦りしているので動けない。
「リア、知り合い?」
「ローゼリアちゃんの知り合い?」
先程まで怒っていたルーや心配そうな顔をしていたユリアス様が私と知り合いなのか聞いてきた。




