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【40】

誤字脱字報告ありがとうございます。


 ソフィア様がウィル様の所へと伝えてきます。と席を立ち、去っていったが何故かユリアス様はそのまま座ったままだ。


(この状況何か気まずい...。)


「...ねぇローゼリアちゃん、あの話」


「あの話...とは婚約者になるならないのですか?」


「うん、そう。君が俺の婚約者になればエリック殿下の婚約者候補だと言われる事も無いし、エリーナ嬢が君に突っかかって来ることも無くなるから一石二鳥じゃない?悪い話じゃ無いと思うんだけどなぁ」


(エリーナは逆ハーレムを狙ってるからユリアス様の婚約者になっても突っかかって来るからユリアス様の婚約者になった所でなのよね。)


「その話私にはメリットがあるかもしれないけれど、貴方には何1つメリット無いわよね?なのにどうして?」


 綺麗な顔立ちでご令嬢から人気が高い公爵家子息の彼にとって、私との婚約がそこまでのメリットがあるのか疑問だ。ご令嬢からの人気が高い分そういう方面でも噂の絶えない方というのはあるけれど。


「俺にとってもメリットだらけだよ。だって女神のような美しい君と夫婦になれるんだよ。公爵家同士だから家柄的にも問題は無いしお互いメリットだらけでしょ?」


「そうかもしれないけれど、でも貴方多くのご令嬢から良いお話があるのではなくて?」


「ローゼリアちゃんが自分だけを見て欲しいって言ってくれるならもう他のご令嬢には目を向けないよ。」


 彼は立ち上がり私の傍に来て誰もが惚れるであろう甘い顔で甘い言葉をはいて私の髪の毛に触れる。


「ふふ何の冗談ですの?貴方の心の中に他の方がいらっしゃるのに貴方は私だけを見てくださるなんて矛盾じゃないかしら?」


「...っ!?」


 先程までの甘い顔が一転此方を窺うように眉を顰める。


「私が分からないとでも思いました?殆どのご令嬢は貴方の家柄、そして綺麗な顔から唄うように紡がれる甘い言葉に頬を染めて貴方に惚れるのでしょうね。」


「...君もそうだと思ったんだけどなぁ」


「あらそこまで頭の中お花畑ではありませんわ。沢山のご令嬢と触れ合っているユリアス様でも間違う事があるのですね。」


「まぁそこまでは思ってなかったけどさ。でも、まさか...」


「自分の想い人が知られるとは思いもしませんでしたか?ユリアス様とてもわかりやすいですけどね。私を婚約者に。と言っておきながら私と2人になるような事はありませんでしたし、いつも私の傍に来る時は必ずあの方が一緒の時でしたし...何より私の事を想ってない事くらい貴方の瞳を見れば一目瞭然でしたわ。」


「...そこまで見られてるなんて...俺の瞳...」


 私の指摘した自分の瞳を彼は両手で隠し俯いた。


「まぁ確信したのは先程ですけどね。」


 私を写す時の彼の瞳は他のご令嬢と話してる時と変わらない、けれど彼女...ソフィア様と話してる時は隠そうとしているのだろうけれど熱の篭もった瞳は隠せていないのだ。と言っても当の本人であるソフィア様は気付いていないと思うが。


「...小さい頃に彼女と数回お会いした事があるんだ。彼女は忘れていると思うけど...。初恋だったんだ。でも、自分で初恋だと自覚した時にはあの方の婚約者になっていた。」


「...だから女遊びを?」


「あぁ、だって手に入らないんだ...もう。どうしたってあの方には敵わないし彼女もあの方に惚れてるのが嫌っていう程分かる。いつも見てきたから...。彼女以上の子を見つけられないんだよ。どの子も同じにしか見えない。...彼女が幸せであるなら何だっていい。失礼だと思ったけど君だったら家柄的にも見た目も申し分ないし両親も否定しないだろう。それに君は彼女と仲が良い...だから、」


「私が彼女と仲が良いから結婚しても彼女と会う機会があるからと?」


「あぁ、ごめん。ローゼリアちゃん...酷い男だよねぇ、俺。」


 泣きそうな顔で私を見つめる顔は叶わぬ恋と理解しつつも忘れられない、そんな複雑な表情で、そして、私に対する罪悪感もあるのだろう。


「そうね、酷い男ね。でも、想う事は自由だと思うのよね、私は。ただ、奪うなんて馬鹿な事は最低行為だと思うけど...でも、恋をしないなんてそんなの止められないじゃない。それにすぐ忘れなくても良いんじゃない?忘れようと思えば思う程忘れられなくなるのよ...。いつかきっと忘れる程の恋をする相手が現れるはずよ。その時まで自由に想っていれば?」


 私はまだ泣きそうな彼の頭を撫でてあげた。


「...ローゼリアちゃん...俺、、」


 ボロボロと泣く彼にハンカチを渡して彼が泣き止むまで傍にいた。




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