【39】
「ローゼリア嬢少しよろしいか?」
声を掛けてきたのはエリック殿下の愉快な仲間たちその1の騎士団長の息子だ。彼は短髪で柔らかそうなクリーム色が特徴的な髪の毛で目付きが少し鋭い為いつも不機嫌そうな雰囲気がある。だが、ご令嬢人気は割とあり近くで隙を狙ってるのだとユリアス様が仰っていた。
「あら、貴方は騎士団長のご子息の...」
「ルドルフと申します。こうしてお話をするのは初めてですね。今、お時間よろしいでしょうか?」
「えぇ、どうかなさったの?ルドルフ様」
「...それがエリーナ嬢とアレクの事でご相談が。」
(また相談...それもエリーナについて)
「アレク様とは次期宰相の?」
「はい、アレクはエリーナ嬢に心酔していましてエリーナ嬢が言ったことやお願いはすぐに聞き入れて行動してしまう事が多々ありまして...先日エリーナ嬢が1人のご令嬢に注意されるという事がありそれをアレクに話したのです。それも主犯がローゼリア様とソフィア様だと。」
「え?」
「...そのご令嬢がエリーナ嬢に注意したのはローゼリア様とソフィア様が言ったからだとアレクに話しましてアレクはたぶん近々ローゼリア様やソフィア様と接触するかと思います。アレクが何かするとは無いと思いますが一応ローゼリア様にはお伝えしておきたくて。」
「そう...私もソフィア様も何もしていないわ。ご令嬢方達からは相談はされていますが。」
「おれ、いや私もローゼリア様やソフィア様がそんな事をするような方々では無いと言ったのですが聞く耳持たずでして。私がローゼリア様とソフィア様を護衛出来れば良いのですが...」
「そうね、貴方はエリック殿下の護衛だものね。」
「はい、陛下やウィリアム殿下にお願いされてしまったので...申し訳ございません。」
「へ?そ、そんな謝らないで!!ソフィア様はウィリアム殿下の婚約者なのだから護衛がちゃんといるだろうし私も大丈夫よ...たぶん。」
「成る可くお1人にはならないようにご注意下さい。」
「えぇそうするわ。心配してくれてありがとう。」
「いえ!私がローゼリア様を直接お護り出来ないのが悔しいですが...ローゼリア様とこうしてお話出来た事は勝手ではありますが嬉しく思います。」
と言うと、ルドルフ様は少し目を泳がせている。良く見ると顔は仄かに赤らんでいるようだ。
「私と話せて?そんな事で喜んでくれるならいつでも話し相手になるわよ?」
(ルドルフ様お友達がいないのかしら?だから、私と話せて嬉しいって事?話し相手ぐらいだったら私にも出来るからどんどん話し掛けて欲しいなぁ)
「ほ、本当ですか!?私のようなものと...なんと慈悲深い。」
「大袈裟ね。私の事はロゼで良いわ。」
「そ、そんな恐れ多い...ですが、ロゼ様と呼ばせて頂きます。私の事はルドルフと様付け無しでお呼び下さい。」
「そう?ならルドルフと呼ばせてもらうわ。ルドルフ、ありがとう。成る可く1人にならないように過ごすわね。」
ルドルフにお礼を伝えてソフィア様がいるであろう休憩室へと足を向けた。
「ソフィア様お待たせしてしまい申し訳ございません。」
「良いのよ。ユリアス様がお話相手になってくれていたの。」
「ソフィア様のお相手が出来て光栄です。」
ユリアス様の婚約者になるか。という話以降2人で会うことも無かったのであの話は保留となっている。
(保留というかまず有り得ないから...ユリアス様ってたぶん...。)
「ユリアス様ありがとうございます。ソフィア様、また少しお伝えしたい事が出来ましたの。」
「あら?今度はどなた?」
「今度はご令嬢では無いのです。」
「なぁ俺、席外そうか?」
「いえ、一応ユリアス様にも聞いておいて欲しい案件なのでそのままでお願いします。本当はルーにも伝えておこうかと思ってもいますの。」
「どのような事なの?...またエリーナ様関係というのは何となく分かるわ。」
「...はい、エリーナ様関係です。先日相談を受けたアンリ様とのお話をアレク様にエリーナ様がお伝えしたらしくその伝え方が私やソフィア様が仕向けたに違いない。と仰ったようで...アレク様は結構エリーナ様に心酔しているようで私やソフィア様に何かなさるかもとルドルフ様が心配して私に教えて下さいました。」
「...ねぇローゼリアちゃん、そのアンリってもしかしてアンリ・マーカス嬢?」
「えぇそうですわよ。流石ユリアス様ね。その方がどうかなさったの?」
「うーん、どうかというか。アンリ嬢ってアレクの婚約者なんだよねぇ。何処のご令嬢なのかエリーナ嬢伝えてるのかな?と。分かってたらローゼリアちゃんやソフィア様に何かする前に婚約者であるアンリ嬢の機嫌をとるのが先だと思うんだよなぁ。」
「ユリアス様が言う通りね。その事についてルドルフ様は何か仰っていた?」
「いえ、ただ用心して欲しいという事しか聞いてませんでしたので。今度会った時にまた聞いてみます。たぶん何かなさることは無いと思いますが一応ご注意下さいませ、ソフィア様。」
「えぇ、そうするわ。この事はウィル様にも伝えておくわね。ロゼちゃんありがとう」




