【5】
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一通り屋敷を紹介し終えて、私達はリビングへと戻ることにした。最初から最後までずっとアレンの手を握りしめていた。
「ふふ、手なんて握っちゃって。ロゼ、アレン君おかえりなさい。」
お母様は始終顔が緩みっぱなしでお父様は何処かソワソワしていて落ち着きがなかった。
「ただ今戻りました。アレンに全てお屋敷を案内できたよ。これからずっと私専属なのよね?」
「偉いわ、ロゼ!えぇ、そうよ!ずっとロゼ専属でアレン君には頑張ってもらいます。」
「元々アレンは執事の家系だから心配いらない。」
「アレンが私の専属なんてとっても嬉しい!...お父様、執事の家系ってなぁに?」
アレンのお家は私達、ウェンズリー公爵家の専属執事を任せられている家系らしくて物心つく前から執事などの教育を受けているそうだ。アレンのお父様は、私のお父様の専属秘書をしている アルバートさん だったのだ。
「父様みたいにお役に立てるように僕、頑張ります!」
そう言ってキラキラした瞳で私を見てきたアレンに少しドキドキしたのは私だけの秘密。
アレンと出会ってからというもの、屋敷の中はもちろん外出する時も何する時もアレンを連れて歩いた。あの出会いからもう半年になる。
今日は庭先でアレンが入れてくれた紅茶を飲みながらのんびりしていた。庭にいる鳥を見ていてふと思った。
「...も、ふもふ...したい」
「はい?」
聞き取れなかったのかアレンは聞き返してきた。
「ん?...ううん、なんかペット欲しいな~ってふと思ったのよ」
「...ペットですか?」
「えぇ、ペット欲しいのよねぇ。お父様に言ったら許して下さるかしら?犬とか猫とかと一緒に遊んだり寝たりしたら幸せだと思うのよねぇ」
「はぁ、ロゼ様は動物お好きだったのですね」
「えぇ、...まぁ私はツリ目気味だからキツく見えて動物とか苦手そうに思えるかもしれないけど、...す、き...なのよ。」
今の私はキツく見えるだろうし、今まで動物と触れ合う機会もなかったから驚くのも分かるが、前世では、仔猫を助けて死んだのだ。仕事が休みの日は猫カフェ、犬カフェ、動物園水族館へ1人で行って癒されていた。アパートが飼える物件だったら絶対飼っていた。それくらい好きだったから動物と触れ合えない今、癒しを求めている。
「い、いや!お嬢様はキツく等、見えません。ただ、動物と触れ合っているのを見たこと無かったので...」
「いいのよ、別に。自分の顔は自分が良く知っているもの。...アレンは、...この顔怖くない?」
「はい!もちろんです!怖いなんて全く思ってません。お会いした時も綺麗だとは思いましたが、怖いなどとは一切思いませんでした。」
アレンが力強く否定してくれて少し嬉しくなった。
(怖いと思われていなくて良かった。悪役令嬢になるくらいだからキツめの顔をしてるんだよね~学園に入ったらきっと嫌われるの確定かな)
「アレン、ありがとう」
アレンだけでも味方がいてくれるならと思いホッとした。将来悪役令嬢になってどんな結末を迎えてもアレンがいてくれるならなんでもいいやとも思えた。
「よし!お父様にお願いしてこよう!」
「え?ロゼ様!?」
歩き出した私をアレンが追い掛ける。気にせずに私はお父様がいる部屋へと向かった。