エリーナ視点
ローゼリアと2人で話す前のエリーナ視点になります。
私がここが乙女ゲームの世界だと気付きそれもヒロインであると理解したのは学園に入る少し前である。
学園に入学してからは夢だった逆ハーレムを目指そうと意気込んでみたものの中々上手くいかない。
それは何故か...
「どうしてローゼリアが悪役令嬢になっていない!!!!」
乙女ゲームの私がヒロインであって皆に愛されるはずの私、エリーナ。そのライバルになる公爵令嬢のローゼリアは私を虐めるはずなのにエリックとは婚約していないし、他の攻略対象にも好かれていて全然乙女ゲーム通りでは無いのだ。
悪役令嬢であるローゼリアはどの攻略対象のライバルとして出てくる。逆ハーレムを目指そうと思うと虐めもエスカレートするはずなのに全くそれが無い。
「あのソフィアとも仲良いし...というかソフィアとウィリアムが仲が良いのもおかしい!ゲームだと仲良くないはずなのに!まだ次期宰相と騎士はそこまでローゼリアと仲良い訳では無いからそれだけが救いね。あの2人にはローゼリアを嫌な女だと思わせないといけないわね。エリックなんて全く役に立たないし...。」
攻略対象なだけに皆、顔は本当にイケメンであり一つ一つの仕草も目が離せない。けれどローゼリアが悪役令嬢でなければヒロインであるエリーナに目を向けられる事が無いのである。
「ローゼリアがもっと悪役でなければいけないのに...どうしたら悪役っぽくなるのかしら。普通なら私の荷物を隠したり階段から落とそうとしたり私を囲って酷い言葉を浴びせたりするはずなのに...。」
「ちょっとエリーナ様よろしいですか?」
(おっ!これは!)
「なんですかぁ~?」
「貴女、私の婚約者に色目を使ったのでしょう?」
顔は澄ましていたけれど怒りは全く隠せていなくて私に向ける声はとても低い。
(確か~伯爵令嬢だったような?イケメンに色目使うのは当たり前でしょ~てか、誰が誰の婚約者とか知らないし!!)
「色目ですかぁ~?エリーナ分からないですぅ~」
「常識では婚約者がいる男性には身体に触れたりしてはなりませんのよ!なのに、貴女はベタベタと私の婚約者に触れているし、他のご令嬢の婚約者にまで手を出して恥ずかしくないのですか!?...ローゼリア様やソフィア様が注意されないのを良い事に調子に乗るのもいい加減にして下さいまし!」
「え~なんでそこでローゼリア様やソフィア様が出てくるんですかぁ~?」
「ウィリアム殿下はソフィア様の婚約者なのですよ。それにエリック殿下はいずれローゼリア様が婚約者になるはずなのです!だから...!」
「え~そんなの分からないじゃないですかぁ?今はエリック様に婚約者いないですしぃ~ウィリアム様とはただ仲良くしてるだけですも~ん!他の方々もただ仲良くしているだけですのに私に怒るなんて心狭くないですかぁ~?」
「な、なっ!!!!!」
どうにか澄ませていた顔だった彼女はみるみる顔を赤くして目を吊り上げた。
「エリーナ嬢?」
彼女がエリーナに掴みかかろうとした時に奥から知っている声が聞こえてきた。
「まぁルドルフ様ぁ~!助けて下さいましぃ~」
「どうした?」
来たのは騎士団長の息子のルドルフ様だった。
「彼女が私に掴みかかろうとしてきたのですぅ~」
「ち、違いますわ!!わ、私...」
彼女は先程の赤い顔から真っ青になってしまった。
「はぁ...エリーナ嬢アレクが探していたぞ。」
「じゃあ、一緒にアレク様の所に行きましょう~では、失礼致しますぅ~」
(ローゼリアには直接今度話して私に嫌がらせをさせるように仕向けないとね!)
何故か疲れた顔をしているルドルフ様の手を引いてアレク様がいる所へと向かった。




