【36】
「あ、ウィ...」
「ウィリアム様ぁ~」
____
「ねぇルーこ、...」
「ルーカス様ぁ~こちらにいらっしゃったんですね!」
____
「ユリア...」
「まぁユリアス様!!」
____
「あらエリッ...」
「エリック様ぁ~今度こちらに行きましょう~」
「...はぁ何なんでしょうか。あれは...」
「あらどうしたの?ロゼちゃん疲れた顔しちゃって」
「それが...」
ここ最近男性方に用事があり声を掛けようとするとすぐにエリーナ様が来て連れて行ってしまうのだ。割と重要な用事だったりする為、話せなかったり書類を渡せなかったりと迷惑している。
「まぁ、そんな事になっていたの?だから最近ご令嬢方からの呼び出しも増えているのね。」
「え?呼び出しですか?」
「えぇ、なんでもご令嬢の婚約者に色目使ったとで呼び出されてるみたいよ。後は私の取り巻きや貴女の取り巻き達も率先してるみたいだわ。」
「私に取り巻きなんていないはずですが...。」
「取り巻きというか貴女に憧れてるご令嬢が勝手にしてる感じらしいわよ。」
「はぁ、彼女に関わりたくないのにとても面倒です...。」
「そうねぇ。まぁ彼女私の婚約者であるウィル様にも最近ベタベタくっつき始めたから私はもう目を背けられませんわ。」
「どうして彼女はこうも問題を引き起こしてくるのでしょうか...。」
「あ、いた。」
ソフィア様の黒いオーラが出始めて私が頭を抱えていると後ろからルーの声が聞こえてきた。
「ルーどうしたの?こちらのカフェに来るなんて珍しいわね。」
「リア、探してた。」
「私を?何か用事?」
「ううん、落ち着きたかったから」
そう言うと私の隣に座り使用人に紅茶を頼み始めた。
「もしかしてエリーナ様に捕まってたの?」
「あぁ、でもユリアスを生贄にして逃げてきた。」
「ふふ、流石のユリアス様も彼女に捕まると焦った顔するのよね。ユリアス様お可哀相に」
(とか言いながら凄く楽しそうなお顔なさってますよ。ソフィア様)
「最近リアと、喋れてない。つまらない」
「そうねぇ、ルーと話そうとするとすぐエリーナ様が来てしまって話せなくなっていたものね。今度またエルトに会いに来てあげて。」
「うん!行く。」
他愛もない会話をしながら彼女の邪魔が入らないひと時を私達は楽しんだ。




