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【30】

(はぁ、憂鬱...ついに今日から学園生活が始まる。断罪までは時間あるしもう覚悟はできてはいるけど、エルトに会いたいの!私は!)


「...はぁ」


 アレンとアンナは学科が違い、使用人や侍女が学ぶクラスへと行ってしまった。使用人のクラスと私のクラスは棟が別れておりお昼等の時以外は中々会いにくいのだ。


(同い年の友達なんていないし、大概の人が家との結び付きがメインなのよね。つまらないな~)


 先程から男女問わず声を掛けてくるけれど皆、私自身では無くウィンズリー公爵家との繋がりを深めたくて声を掛けてくるだけ。

 そう思っていると廊下の方がだんだん騒がしくなってきている事に気付き、私も目線を窓から廊下側へと移す。


「殿下だわ。」

「まぁなんて素敵な...。」

「是非お近付きに!」

「ウィリアム殿下にはもう婚約者がいますが、エリック殿下にはまだいないとの事。」

「同じクラスになればエリック殿下と距離が近付けるわね。」

「...でも、エリック殿下は少々お口が...とお聞きしたけれどどうなのかしら?」

「私もその話聞いた事がありますわ。」


(げっ、まじか...。このクラスとか言わないよね?ご令嬢方はそこまでして近付きたいのね。えぇそうよ。とーっても口が悪いのよ。私は仲良くなるなんて御免だわ。)


 皆の注目の的のエリック殿下は私の祈りも虚しくこのクラスへとお供を連れて入ってきた。

 エリック殿下の右隣にいるのは、次期宰相候補である。そして、反対の左隣にいるのは、騎士団長の息子だ。後ろでご令嬢方に囲まれているのは確か...公爵家嫡男っぽい。


(誰も名前が分からない。きっと関わらないだろうから関係無いわね。)


「ひ、久しぶりだな。ローゼリア」


「...」


 エリック殿下がいつの間にか私の席まで来ていて声を掛けてきた。


「おい!聞こえているのだろ」


「...失礼致しました。エリック殿下お久しぶりでございます。」


「フン。俺が直々に声掛けてやったんだ、すぐに返事しろ。」


「まさか殿下がお声を掛けて下さるとは思いもよらなかったので言葉に詰まってしまいました。申し訳ございません。」


(な、何だコイツ!前より俺様感酷くなってるんだけど!手が出なかった私を誰か褒めて欲しい。帰ったらエルトに癒してもらわなくちゃ!)


「ウィル兄様とソフィア嬢が昼食をお前と一緒に取りたいと言っていた。」


「まぁ有難い事にございます。」


(ウィル様も婚約者のソフィア様共最近は会えてなかったから会えるのは嬉しいわね。)


 エリック殿下はそれだけの為に私に声を掛けたのか要件を伝えるとすぐに自分の席へと戻って行った。








「やぁロゼ、久しぶりだね。」

「ロゼちゃん、クラスはどう?馴染めそう?」


「ウィル様、ソフィア様お久しぶりでございます。まだよく分かりませんの。」


 お昼はウィル様の使用人が私を迎えに来てくれて食堂へと来た。

 ここの食堂は貴族用ということで私が前世で使っていた社員食堂なんて比じゃない程の豪華でキラキラしていて食材も良い物を使用していてとても美味である。


(ウィル様とソフィア様に会えたのは普通に嬉しい。うん、嬉しいの。だけど、だけどね、何故!?何故コイツも一緒にいるの!?弟だからなの!?他にも腰巾着達がいるし。もう最悪よ。...こんな事ならアレンとアンナがいる使用人棟の食堂に行きたかった...。)


「ロゼはエリックと会うのはあの時以来だから気まずいかもしれないけど、エリックも成長したから今のエリックを見てあげて。」


「...幼い頃の事ですもの根に持ってなどおりません。ただ、ウィル様とソフィア様以外とお話した事がございませんので少し緊張してしまって。」


「フン、緊張など愚かな。」

「はぁエリック...お前はまたか。何故そんな言葉しか出てこないんだ。」

「ウィル様、エリック様はお恥ずかしいのよ。ロゼちゃんがこんなに綺麗に成長しているから、...そうよね?エリック様」


 呆れた目でエリック殿下を見るウィル様と優しい声とは別で有無を言わせない鋭い目つきでエリック殿下を見ているソフィア様がいた。


(はぁもう帰りたい。)


 学園生活もこの昼食も全て憂鬱と化した。





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