【28】
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ついにラウス殿下とお別れの時が来てしまった。
「エルぅ~。また会えるわよね?...すぐには無理だけど私、エルに会いに来るからエルも私に会いに来てくれる?」
私はエルと離れたくなくてずっとエルを抱きしめている。そんな私達を国王夫妻は微笑ましそうにしているが、お父様はオロオロしていて隣にいるアレンは何だか複雑な顔をしている。
「...ぃ、く。」
私の耳元で掠れた声が響く。
「え?」
「ぼ...も、...ぜに...いく」
「え、エル!?声が!」
ガバっと抱き着いていたエルから離れて私は優しく頬に触れた。
「声が出るようになったのね。」
「...ロゼ、...僕も、会いに...行くから」
少し掠れて途切れ途切れだけどエルの声変わりしていない少し高めの声が私の耳に届く。
「う、うん!絶対よ。また会いましょうね。...良かった。エルの、声聞けて。」
私は涙が溢れそうなのを必死に堪えて笑顔でエルにお別れを言って馬車に乗り込んだ。
「ロゼ様、もう少しで着きますよ。」
いつの間にか眠ってしまっていたらしくアレンに起こされて帰って来たのだと気付く。そして、数日前には一緒に馬車に乗っていた彼が今はいない寂しさを感じながら外へと目を向けた。
「...アレン、貴方はずっと傍にいてね?」
「はい。ロゼ様が嫌がっても一生お傍に仕えさせて頂きますよ。」
アレンは私の寂しさを分かっているのか優しい笑みで私を見つめた。
「嫌がってもいるのは、困るわね。」
と少し笑いながら言うと傍で聞いていたお父様が私の頭を撫でてくれた。
「アレンが傍で仕えてくれるなら私も安心だ。」
「旦那様、お任せ下さい。もっと強くなりロゼ様を一生お護りする所存で御座います。」
「ふむ、助かるよ。」
「もうアレンは大袈裟よ。...ねぇ、お父様またエルに会えるよね。」
「あぁ、勿論だとも。私達の国とアーステル国は敵対国では無いから必ずまた会えるさ。」
またいつか会えますように。と信じていないけれどいるであろう神様に祈った。
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