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【26】

 部屋は変わらずお父様と私、アレンとエルで決まってしまった。


「お父様、最後なんだしエルと一緒が良かったわ。」


(あの時からずっと夜はエルと一緒だったし、最後なんだから!!)


「そんなに私と一緒は嫌なのか?」


 お父様が泣きそうな顔で私に聞いてきた為、これ以上強く言うのは可哀想な気がしてこの話は終わりにした。


(エル大丈夫かな?でも、1人じゃないから大丈夫かな。)








 朝になり支度を終えた時にコンコンとノックが聞こえた。


「入りたまえ」


 お父様の一声の後に入ってきたのは寂しそうな顔をしたエルだった。


「エル?どうしたの?やっぱり眠れなかった?」


 首を横に降ったので眠れなかった訳では無かったらしい。では、どうしてこんなにも寂しそうな顔をするのか分からずにいると、エルはギューっと強く私を抱き締めてきた。


(...そっか。エルも寂しかったんだね。あれからずっと一緒に寝てたから私も寂しかったけどエルも寂しいと思ってくれていたんだ。)


「...やっぱり最後も一緒に寝たかったね。」


 そう言って私はエルを抱きしめ返した。









 皆支度を整えてまた馬車へと乗り込み、アーステル国の王都へと出発した。





「ウィンズリー公爵、良くぞここまで来てくれた。長かっただろう。」

「私共の力不足で長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。」


 王都に着くとすぐに城へと通されて国王夫妻とお会い出来た。


「いや、ウィンズリー公爵家が動いてなかったら私の息子は今、奴隷として遊ばれているに決まっている。」

「ウィンズリー公爵、私達の息子を助けて下さりありがとうございます。」

「ラウス、此方へ」


 エル改めラウス殿下は国王夫妻の元へと歩を進めた。


「無事で良かったわ。心配したのですよ。...か、顔を見せて。」


 王妃様はラウス殿下を抱き締めて瞳に涙を溜めてラウス殿下の顔を見つめた。


「ウィンズリー公爵の報告書で分かってはいたが、やはり声はまだ出ないのか...」


 国王様は寂しそうな顔でラウス殿下を見つめた。


(そうなのよね。虐待されてたのがあまりに精神的なショックが大きかったのよね。私と過ごす間に戻ってくれてたら良かったけど。聞きたかったなぁ、エルの声。)


「ウィンズリー公爵、その者を紹介してくれるか?」

「はい、ロゼ」


「...お初にお目にかかります。ローゼリア・ウィンズリーでございます。」


「ほぉ、貴殿の娘か。将来が楽しみな風貌をしているな。ラウスも相当気に入っているのだな、ラウスの匂いしかしない。」

「まぁまぁ!とーっても綺麗な子ね。それに振る舞いも素敵だわ。ラウスが気に入るのも分かるわ!マーキング完璧ね!良くやったわ!」


 最後の方は意味が分からなかったけど、私の事を褒めて下さってるのは理解出来たのでお礼を言った。隣でお父様が頭を抱えていたけど何故なのか分からないし、国王夫妻の意味不明な言葉よりも国王夫妻の耳と尻尾が勢いよくピクピクフリフリしていて失礼だけど凄く可愛いと思ってしまった。


(や、ヤバイ!めっちゃモフりたい!だ、ダメダメ。そんな事したら命が無くなる!卒業までは生きるって決めてるんだから!!!)


「ローゼリア、ラウスの傍にずっといてくれたのだろう。礼を言う。そうだ、ウィンズリー公爵2、3日此方に滞在するのだろう?だったら、此処を立つ日までラウスと一緒にいてやってはくれないか?」


「は、はい。詳しい報告等もあるので、数日滞在する為に宿を取ろうと思っておりました。」


「なら、我が城に泊まっていけ。そうすれば、ラウスはローゼリアといられるし貴殿も仕事が楽だろう?」

「そ、それは助かりますが...」

「なら決定ね!ローゼリアちゃん、後でお茶会をしましょう!」


 国王夫妻の仕切りで滞在場所が決まり私は王妃様とお茶会をする羽目になった。


(お茶会はエルも来るのかな?そうだ、アレンも呼ばないと!)





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