【25】
誤字脱字報告ありがとうございます。
お父様が放った一言が頭の中で反復する。
「...おと、うさま?エルが隣国出身だと言うのは分かるけど、隣国の王子...というのは本当なの?」
「あぁ、間違いない。エルを見つけた時に色々と調べていたんだ。それでエルは隣国であるアーステル国の第2王子だと分かった。でも、エルは精神的なショックで声も出なく、そしてまた闇オークションへと戻される事も有り得ると思って私は陛下とアーステル国王にも報告したんだ。黒幕を捕まえるまで此方で保護させて欲しいと...。」
「...そ、う...エルが。だとするともう黒幕は捕まったからエルは国に帰ってしまうの?」
私はずっと一緒にいたエルが離れてしまうのが嫌で隣にいるエルに抱き着きながらお父様に聞いた。
「あぁ、国王夫妻とご兄弟もエルの帰りをずっと待っているんだ。エルを家族と離すのは可哀想だろう?」
「...はい。」
「3日後には隣国へと出発するからエルは準備しなさい。...そこでどうだろう、ロゼ。一緒にエルを送りに私と来るかい?」
少し意地悪な顔をしたお父様がいた。
「っ行く!!!」
エルと過ごす3日間はとても短くあっという間に出発の日がやってきてしまった。
「エル君、元気でね。もうエル君とは呼べないのよね...とても寂しくなるわ。」
そう言ってお母様はエルの身体を抱き締めて頬にキスをした。エルは少し照れたように顔を俯かせていたが、お母様に『ありがとう』と伝えていた。
「よし、出発だ!」
お父様、私、エル、アレンと護衛数人でアーステル国へと出発した。
所々休憩を挟んで行ったのだが、思っていたよりも早くアーステル国に着いてしまった。
(はぁ、早すぎるよ。もっと時間掛けてエルと一緒にいたかったのに、全然いれなかったよー。別れたくないなぁ。でも、家族と離すなんてしたくないから我慢しなきゃ。でも、寂しいよぉ。)
「よし、着いたな。慣れない長旅で疲れたろう?アーステル国へは入れたが肝心の王都へはまだ着かないから今日はここで宿を取るぞ。」
先程まではエルと離れるのが寂しいからあまり気にならなかったが馬車から降りると身体が凄くダルい事に気が付いた。
(馬車で長旅なんて前世はもちろん今世でもなかったから身体も精神も疲れまくってるのね。早くベッドで眠りたいかも。)
「部屋は私とロゼ、アレンとエルで良いかい?」
「え!嫌!私、エルと一緒が良いわ。いつも寝る時はエルと一緒だったのだもの。」
そう、エルが怖い夢を見たと私の部屋へ来た時からずっと夜一緒の部屋で寝ていたのだ。
「な!?ろ、ロゼそれは本当なのか!?」
「っ!?」
お父様とアレンは勢いよく私の所へ来て一緒に寝ているのが本当なのか聞いてきた。
「う、うん。だってエル、ここに来た最初の時に怖い夢を見たみたいで泣きそうな顔で私の所へ来たの。だからそれからは寝る時はいつも一緒だったのよ。」
「な、な...。え、エル、それは意味が分かっててやっていたのか?」
コクコク
「...確信犯か...。」
「??」
私はお父様がエルに聞いた意味が分からず頭の中にハテナマークが飛び交っていた。




