視点別
前半がウィリアム視点で後半がエリック視点になります。
今日は先日闇オークションの件で関わる事になったウィンズリー公爵家の令嬢であるローゼリアが城に来ると聞いて朝から楽しみで仕方無かった。
「やぁ、ロゼ。元気だった?また会えて嬉しいよ。」
「えぇ。ウィル様もお元気そうで何よりです。」
相変わらずの綺麗な淑女の礼をして私へと目線を合わせて微笑んでくる。まだ6歳だと言うのに、仕草も綺麗で頭もキレるこの令嬢に私はとても興味がある。
「ほら、エリック挨拶を」
隣に顔を俯かせていた弟に挨拶を促す。
「...」
「エリック殿下、お初にお目にかかります。ローゼリア・ウィンズリーでごさいます。」
「ごめんよ、ロゼ。彼は相当な恥ずかしがり屋なんだよ。慣れれば良いんだけどね。」
恥ずかしがり屋でもあるが、母親が生まれた時に病弱だった弟を元気になった今でも甘やかすので少し...いや、だいぶ我儘に育ってしまった。
「エリック殿下これからお父様が此方でお仕事の際は私もエリック殿下に会いに来ますね。そしたら私にも慣れて下さるかしら?」
「ロゼ、エリックだけは関心しないな~」
「ふふ、ウィル様にも会いに来ますよ。」
ロゼはしっかりしているがやはりまだ幼い為、私は妹のようにも思っている。
「...い、やだ。」
「え?」
「お、お前のような、ぶ、ブスなんかと仲良くなるものか!お前なんかと遊んでなんかやらない!ウィル兄様はお優しいからお前のようなブスにでも声を掛けるが俺はそんなに優しくないんだ!」
(はぁ、またか...それも同い年の公爵家のご令嬢にまでこの態度とは...。)
父上が同い年の友人をと貴族の子息を呼んで合わせたがその時も似たような態度をとってしまい、中々上手くいかなかった。エリックは使用人達に大してはもっと酷く俺様な態度をする。
「...そうですか。畏まりました。私のような者が話しかけてしまって申し訳ございませんでした。すぐにここから去りますので、ご安心下さい。ウィル様、では私は失礼致しますね。」
これは仕方が無いね。
「はぁ、エリック。...ロゼすまない。父上達がいる部屋まで送るよ。」
俺は歩み寄ってくれたロゼに対して申し訳なさとどうしてこういう態度しかとれないのかと呆れた目線をエリックに送り、ロゼの方に向き直ってすぐ部屋を出る。
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1人残されたエリックは兄であるウィリアムの目線に少し震えたが先程のローゼリアが頭から離れずにいた。
「な、なんなのだ!...お、女なんて母上と使用人以外会ったこと無かったし...あんなき、綺麗な人など見た事ないのに...いきなり近くに来て...」
俺は頭を抱えながら部屋を行ったり来たりしていた。
どのくらいしていたのか分からなかったが途中でウィル兄様が部屋へと入ってきた。
「エリック、どうしてあんな態度をとるんだ?彼女はあのウィンズリー公爵家の一人娘だぞ?それにあちらから歩み寄ってくれてきたのに。」
「だ、だってウィル兄様!俺はあんな触れば壊れてしまいそうな人を今まで見た事がないんだ!今日いきなり会わされて...あんな近くに来られて...て、手を握られたのだ!」
「一目惚れ...か。だとしても、あんな態度は失礼だ。前に父上が連れてきた貴族の子息達にも失礼な態度をとっていたな。」
「あれ、アイツらが...女みたいだとウィル兄様を馬鹿にするから。」
「そうか...お前は根は優しいのだよな。全く人には理解されないがな。身体を鍛えるだけでなくちゃんと勉強もしないと将来困るのだよ。わかったかい?」
「俺はウィル兄様を守る騎士となるので勉強は不要なのです。」
「騎士も勉強せねば役に立たん。」
キッパリとウィル兄様に言われて先程までの勢いが無くなった。
「エリック、私の事を大切に思ってくれるのは有難いが自分の事も大切に考えろ。お前は王族なのだから立ち居振る舞いがちゃんと出来るようにしなきゃいけないからな。...今度ロゼに会った時はきちんと今日の事を詫びろ。良いな?」
ウィル兄様は俺の顔を覗き頭を優しく撫でてくれた。
「あ!そうだ。先程の件、父上に報告したから覚悟しといた方が良いぞ。」
そう言って意地悪な顔をして部屋を去っていった。
「う、そだろ...。」
すぐに来るであろう魔王のような父上の顔を想像して部屋の隅に隠れるのだった。




