【3】
ガチャ
「ロゼ!大丈夫かい?」
「起きてて大丈夫?まだ寝てなさい」
部屋に入ってきたのは2人の男女だ。ベッドから出て起きていた私を心配そうな顔で見つめてくる。
「えぇ。もう身体は大丈夫ですわ。」
「まぁ、ロゼ?その口調はどうしたの?」
女の人が驚いたように私へと近づいてくる。きっと母親なのだろうと思う。
「まだ熱があるんじゃないか?いつもあんなに色々と言うじゃないか」
(...あぁ~色々って、まぁ将来悪役令嬢になるんだものね。我儘だったんだろうなぁ)
「...いえ、熱はもうありません。ただ、今までの私ではいけないなと思って、口調から変えていこうかと思ったのですが...」
「ふふ、そうね、もうロゼも5歳になったんですものね。大人になりたいお年頃よね。」
「そ、そうか。でも私は寂しいぞ。今までのようで良いんだよ、家族なんだし」
(それもそうよね、家族なんだし口調は崩した方が良いよね)
「うん。わかったわ!」
微笑んでみせると安心したように両親は部屋から出ていった。
熱が引いて数日
私は親友が言っていた乙女ゲームの内容を思い出しながら紙へと書いていった。
「うーん、攻略対象が5人~6人いて。私は悪役令嬢のローゼリア。ヒロインがエミリー、攻略対象の名前聞いとけばよかったわ。婚約破棄されて国外追放なんだよね。まぁ国外追放なら...いや、確か最悪の場合、処刑とか言ってたかしら?...国外追放なら生きていけるから国外追放になれば良いんだけどなぁ~」
「失礼します。お嬢様、旦那様がお呼びです。」
メリーがそう声を掛けてきて慌てて紙を引き出しにしまってお父様がいる部屋へと向かった。