エル視点③
「ここが私の部屋よ。たぶん、エルは私の部屋の隣になるんじゃないかしら?寂しくなったらいつでも来なさい。エルなら大歓迎よ。」
次に彼女の部屋に案内された。寂しくなったら...暗い夜は捕まっている時のことを思い出すから嫌なんだよね。でも、僕は獣人だから彼女の傍にいると僕の匂いが付いちゃう...良いのかな。僕の物...にしたいけど...ま、人には分からないから寂しくなったら彼女の傍に行こう。
「エルの髪の毛はとてもフワフワしていて素敵ね。瞳はアレンと同じ青なのね!羨ましいわ」
そう言って彼女は僕の頭を撫でようとしてきた。頭では彼女は違うんだと分かっていても身体が言う事をきかずに頭を抱えてしゃがみ、震えだしてしまった。
こんなんじゃ彼女が困るのに...でもどうしても身体が...どうしよう迷惑掛けたくないのに。
「エル?もしかして、怖かったの?...ごめんなさい。気付かずに、大丈夫よ。大丈夫だから」
ううん、君が怖いんじゃないんだ。震える僕の身体を彼女は優しく抱き寄せてくれて、背中をさすってくれた。
「エル、本当にごめんなさい。でも、私は貴方を傷付けないわ!...エル、私の手を見て。この手は決してエルを傷付けないから!...覚えて...」
分かってるちゃんと分かってる。それを伝えようと未だに震えているが顔を上げて彼女の目と手を交互に見てコクンと頷いてみせた。
「ふふ、ありがとうエル。...アレンがハーブティを用意してくれたわ。一緒に飲みましょう?」
僕はアレンが用意してくれたハーブティを見た後、彼女とアレンを交互に見ながらゆっくりと口をつける。ハーブティはとても美味しく先程までの強ばった身体が緩んだ。
「エル様のお口にもあったようで安心しました。」
「飲み過ぎには注意よ、エル。豪華な晩餐がこれから待っているのだから!」
2人共凄く優しくて暖かい。こんな2人の傍にずっといられたら良いのに...。
僕らは時間が来るまで他愛ない話をしながらハーブティを楽しんだ。
その日の夜、やっぱり僕は怖い夢...というかあの暴力を受けていた夢を見てしまった。
...コンコン...コンコン
「...誰なの?」
声が出ないから答えられない。どうしようと思っていると少しだけ扉を開けられた。
「まぁ!エル!どうしたの?」
彼女の声を聞けて安心し僕は勢いよく彼女に抱き着き顔を埋めた。
「一緒に手を繋いで寝ましょ!そしたら怖い夢なんて見ないわよ。」
僕は彼女のベッドに入り向き合うように手を繋いで眠ったのだった。
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