エル視点②
引き続きエル視点です。
紹介された女の子はアーステル国にいないプラチナの綺麗な髪をしていて、僕を見つめる瞳はエメラルドのように輝いていた。
僕はその瞳に全てを一瞬の内に奪われたのだ。
僕が心を奪われている間に僕が闇オークションに売られそうになった事と虐待を受けて声が出なくなってしまった事を公爵が彼女に話をしてくれていた。
「精神的なのが影響しているらしいからロゼ、仲良くしてあげなさい。ロゼの1つ下だから弟だな!狼の獣人で獣化もできるから仲良くなったらお願いしてみたらどうだ?」
「え?そうなの?仲良くなるわ!元気にもなって欲しいし、声も聞きたいもの!」
「そうだわロゼ、この子に名前をつけてあげたらどう?」
「...名前...、私が付けて良いの?」
僕の名前はあるが、その事を言ったらアーステル国の王子だとバレてしまう。それに彼女に付けられる名前なら喜んで改名しても良いとさえ思った。
「エルピスは希望って意味なの。声を出して欲しいし優しい人も世の中にいるんだよ!って希望を見出して欲しいから」
希望...エルか、彼女に呼んでもらうなら何でも良い気がするが意味まで考えてくれるのは凄く嬉しい。
いつの間にか話が進んで行って彼女に手を引かれていた。というかもう1人手を繋がれているが誰だ?
「まずは自己紹介しないとよね。私はローゼリアよ。ロゼってみんなに呼ばれているの。貴方はエルってこれから呼ぶから覚えてね?」
自己紹介をしてきた彼女にとりあえずコクンと縦に首を振って頷いてみせた。
ローゼリア...ロゼ、ロゼ。素敵な彼女に良く似合う名前。ちゃんと声に出して彼女の名前を言いたい...。
「こっちにいるのは私専属の執事でアレンよ。エル、これからよろしくね」
こいつはアレンっていうのか。アレンも僕と同じでロゼの事を気に入っている気がする。




