【2】
あれから今の状況を把握してみた。
まず、私は確実に前世で死んだはずだ。あんな大型トラックが目の前に迫ってたというのに生きているとは考えにくい。そして、今の私はメリーというメイドが「お嬢様」と声を掛けていたから私は何処かのお金持ちの娘なのだろう。
メリーが「奥様と旦那様を呼ばなければ」と勢い良く部屋から出ていった。
(今から私の両親が来るのね...親が来る前に今の私の姿を見てみる必要もあるよね)
ベッドから起きて大きな姿見へ
「...これが、今の...私?...この姿、見覚えが、あるんだけど...!!!!
そ、そうだ!エリカがやってた乙女ゲームの...」
エリカというのは前世での親友だ。エリカはオタク女子で良く私に乙女ゲームを勧めてきた。でも、私はゲームは苦手で乙女ゲームよりもざまぁの小説の方が好きだった。
その親友がやっていた乙女ゲームの悪役令嬢に似ているのだ。
「...嘘...悪役令嬢に転生って、現実にあったんだ、」
自分が転生して悪役令嬢というのは理解した。だけど乙女ゲームをやった事が無い私は、親友が話をしていた少しの内容しか知らないのだ。
(確かこの悪役令嬢って王子や侯爵子息とかの婚約者になるけど、婚約破棄されて国外追放とかになってバッドエンドになるのよね。そして、ヒロインはハッピーエンド)
内容を知らない私はバッドエンドしかないって事になる。内容を知っていたなら回避だって出来たかもしれないけれど、やってないから詳しい内容は知らないのだから仕方が無い。
「...もうしょうがないか、その時まで自由に生きるしかないわね。婚約は無しにしてもらいましょう」