【15】
私達は場所を移動させられて今は暗い部屋の中にいる。それに私達以外にも数人の子供達が膝を抱えて俯いていた。年齢はたぶん私達と同じ位だろう。
(目隠しされて連れてこられたから本当に場所が分からないなぁ~)
「うーん。こんなに子供達を集めていたなんて...さぁ、どうしましょう?」
「僕達だけならもしかしたらと思いましたが...」
「そうよねぇ...でも、私達は今日帰らないし、いつもの従者もお父様とお母様に報告してくれるだろうから私達の事をすぐに見つけてくれるはずだわ。...それまでに闇オークションを開催している大元を見つけないとまた逃げられてしまうわ。」
「はい、そうですね。」
横を見るとエルが怯えて私に抱き着いているので優しくエルに声を掛ける。
「エル、大丈夫よ。私達がいるから、絶対ここから出ましょうね。」
コクン
「エル様、前もここに?」
コクン
「やはりそうですか。」
「扉はここだけだし...オークション開始までここで待機かしらねぇ。でも、オークションで売られてしまったら意味無いものねぇ...またあの単細胞馬鹿2人組来ないかしら」
「ロゼ様、単細胞馬鹿2人組とは先程の?」
(あ、ヤバい。つい本音が...)
「...ん?そんな事を言ったかしら?」
「...」
アレンとエルの2人が生暖かい視線を寄越してきたがここは知らないふりをしてなんとか話を変えてみた。
「...ね、ねぇ。他の子達にも話を聞かない?」
「...えぇ、そうですね。」
膝を抱えている子達に1人1人話を聞いてみると平民から貴族の子達まで身分は幅広いが年齢はやはり同じ位の子ばかりで、性別も様々だった。中にはエルと同じ獣人の子までいる。
「良くもみんな顔が良い子ばかりを集めたわね。ここまで来ると関心するわ」
「すまん。先程から話を聞いていたのだが、君達はこの事を知っているのだな?」
先程まで隅にいた金髪で青い目の私より少しだけ年上そうな男の子が声を掛けてきた。
「...えぇ。少しだけでも、詳しくは知らないの」
「...そうか。俺はここに3日程いると思うのだ。...まぁここが暗いから合っているか怪しいが、いつも男性が朝晩とご飯を運んでくるからたぶん、合っていると思う。」
「3日もですか。貴方は確か...ウィル様でしたよね?」
「うむ、そうだ。君達が知っている事を俺にも教えてくれないか?考える人数は多い方が良いだろう?」
「えぇ、そうね。私達が知ってるのは子供達を中心に集めて貴族達に売る闇オークションが開催されている。って事とその大元が貴族じゃないかって言うのを聞いたわ。まぁ貴族っていうのは憶測だけれどね。後は、隣国の獣人の子達も集めているって事位かしらね。...ごめんなさい、あまり情報が無くて...」
「いや、貴重な情報をありがとう。君達も貴族なのだろう?」
「えぇ。同じ貴族としてとても恥ずかしいわ。だから絶対に捕まえたいの。それにこのせいで隣国とこの国が戦争になんてなって欲しくないもの。」
「あぁ、そうだな。」
彼は悔しそうに拳を握っていた。
話が終わって数時間すると私達を連れ去った馬鹿2人組の1人がやってきた。
「おーい子供達、夕飯持ってきたよー。」
「お兄さん、ありがとうございます。...それでお兄さん、私達を売る日はいつなんですか?」
「んー?確かー、明後日だったかなー。今回は依頼主様のお屋敷でやるみたいなんだよねー」
「...依頼主様って主催者って事ですよね?危険ではないの?」
「そーう。後、今回は嘘の情報を流してるから安全らしいよー。依頼主様も頭良いよねー。」
(貴方達は馬鹿だけどね。)
「...ねぇ、依頼主様のお屋敷って事は貴族なのよね?」
「うん、そうだよー。大きいお屋敷なんだー。王都から少しだけ離れているし、獣人の国からも割と近いからこのオークションやりやすいんだってー。莫大な大金が動くからやめらないんだよーたぶん。まぁ僕達にもお零れがいっぱい来るから有難いよねー。」
「そうなの。ありがとうございます、お兄さん」
「ん?どういたしましてー。また明日朝ごはん持ってくるから大人しくしてるんだよー。」
そう言って彼は扉に鍵をかけて去っていった。
「お馬鹿よね。」
コクン
「はい」
「あぁ、本当に」
「開催は明後日みたいね。たぶんここはその主催者のお屋敷の何処かなのよね。この扉を開けられたら良いのに...」
私達はどうやってここから出るかを話し合った。