【14】
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事が動いたのはエルが我が家に来てから数ヶ月経った頃
今日は馬車に乗りエルとアレンを連れて今流行りのケーキ屋さんへと馬車で向かっていた。
「楽しみね。私もアレンも甘い物好きだから良いけれど、エル良かったの?貴方あまり得意ではないでしょう?」
コクン
「ロゼ様、エル様も一緒に来たかったのですよ。きっと甘さ控えめのケーキもあるはずですから」
「そうね、エル1人だけ家でお留守番も可哀想だものね。」
コクンコクン
ここ数ヶ月でほとんど無表情だったエルは表情が前より豊かになり、私以外にも家の人間ならあまり怖がらなくなった。
その事によって、お父様とお母様がとても嬉しそうだ。
雑談している馬車が速度を落とし止まり従者がドアを開けてくれた。
「...ねぇ、貴方だ、れ!?」
「っ!?ロゼ様お下がり下さい!!」
家を出る時はいつもの従者だったはずだが、ドアを開けてきたのは全く知らない人だった。そして、場所も全く身に覚えが無い。
(話に夢中で外を見てなかった...。いつもの従者は何処!?てか、誰コイツ!!!)
私はアレンに言われた通りにアレンの後ろに下がりエルの身体を抱き寄せた。
「馬鹿なお嬢様。従者なら屋敷を出る時に気絶させてやったよ。...どれも上物だな、高値で売れそうだ。」
(高値!?もしかして、また闇オークションを!?)
「私達をどうする気?」
怯えていると思われないように冷静を装って怪しい男に質問する。
「ん?どうするも何も、売るんだよ。依頼主がそこの獣人がどうしても欲しいらしくてさ。凄い良い金になるんだとよ。んで、お前らは前の闇オークションをぶっ壊した奴の子供だからだとよ。」
(依頼主はたぶん、闇オークションを開催している大元だよね。...それにしてもこの男、ペラペラと。)
「...その依頼主って?」
「秘密に決まってんだろ。」
(ここは馬鹿じゃなかったか...どうにかしてエルやアレンだけでも逃がしてあげなきゃ...)
ドアは男の所に1つだけ。外にも仲間がいる可能性もある為、この男を突破しても外で捕まってしまったら意味が無い。
「...アレン...」
「ロゼ様、まだ仲間がいる可能性がありますからここは大人しくしてた方が...」
「えぇ、私もそう思うわ」
「何、そこでコソコソ話してやがる!?まぁ良い。おい!リックス手伝え!」
「ほーい」
(ふむ、1人はリックスね。あの男は名前も知りたいけど...)
「あ、キットー、こいつらどうするのー?眠らせて運ぶー?」
「そうだな。一応静かだが場所バレてもやばいからな」
(...こいつら本当に馬鹿なのね。)
「大人しくしてるからそういうのやめて」
「て、言ってるけどどうするー?目隠しと口塞ぐだけにするー?」
「うーん、まぁ騒がなさそうだから良いんじゃないか?」
「ほーい」
(良し!馬鹿で良かったぁ。このまま捕まって大元を見つけてやる!)