【107】
「ロゼ、君が好きだ」とエルは私に伝えてくれたのに私自身は優しいエルに甘えてしまい伝えてはいなかった。
(と、いうか恋を自覚したのがつい最近なんだよね...。リノア様のお陰だなぁ〜)
「エ、エル...あのね...」
「わ、私も...エルが...好き、よ。」
意を決して伝えたが伝えている最中にだんだんと恥ずかしくなってしまい声が小さくなっていってしまった。
しかし、ちゃんとエルには伝わったようで先程までの耳をペタと垂らした悲しい顔から一変、尻尾をこれでもかってくらいに振り耳はピンっと立てて満面の笑みを浮かべて私を見ている。
「それは、本当?...その好きは弟としての好きでは無くて、僕を男としての好きだと思って良い?」
「ええ、エル、貴方を異性として好きなの。この想いに気付いたのは最近で、それもリノア様のお陰なのだけどね。」
「え?リノアの?」
「ええ、リノア様がいなければこの想いに気付かずにいたか、もしくはもっと後になってたかもしれない。」
もしかしたら、エルが誰かと結婚してしまった時に気付いて後悔していたかもしれないのだ。
(私って鈍いのかな〜?)
前世では人並みに恋愛してきたつもりではあるが、誰かに取られたくないと思うような恋人はいなかった。
だからこそ、このエルを想う気持ちは家族としての愛情なのだと思ったのだ。初めての気持ちに戸惑いながらもエルと両想いなのだと思うと少し擽ったくて気持ちが良い。
「そっか。リノアには感謝だな。...ロゼ」
甘い声で私の名を呼ぶエルはいつもより少し大人っぽく若干の色気がある。
そんな初めてみる彼の姿に戸惑いつつも目を逸らせない。
顔がどんどんと近づくが私はどうする事も出来ずにこの後に来るであろう感触を目を閉じて待つのだった。
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