【106】
「エ、エル!?」
「ロゼに勘違いされるのは嫌だからハッキリ言うけど、僕はリノアの事はただの幼馴染としか思ってない。前にも言ったけど僕はロゼに出会ってからずっとロゼしか見えてないんだ。」
「ロゼ、君が好きだ」
「ロゼが僕の事を弟のようにしか思ってないのは理解してる。でも、リノアの事で少しは心配してくれたって事はちょっとだけでも僕の事を意識してくれたってことだよね?...少し調子に乗りそう」
そう言って照れたように笑うエルがとても可愛くて抱き締めたい衝動に駆られた。
(え、私、変態じゃない!?ヤバいヤバいヤバい!!!で、でも、こんなに可愛いエルがいけないんだ!)
「ロゼ?」
黙っていた私を不審に思ったのかエルが覗き込む。
(もう〜〜)
エルが好きだと自覚してしまった今はちょっとしたエルの仕草でさえ恥ずかしくなってしまう反面、もっとくっ付いていたとも思ってしまう。
「...ダメ...だぁ」
顔が赤くなるのが抑えられず、エルから距離をとって俯いてしまった。
「...ロ、ロゼ?...ダメ、って?」
今にも消えてしまいそうなか細い声が聞こえて顔を上げると泣いてしまいそうな顔をしたエルがいた。
「え?エ、エル?」
何故エルが泣いてしまいそうな顔をしているのか分からずに問いかける。
「...今のダメってどういう事?...やっぱ僕じゃダメって事?弟にしか見えない?アレンのようにスマートな気遣いなんて出来ないしユリアス殿のように女性を喜ばすような言葉も出て来ない。ルーカス殿のように知識も無い。それでも、...それでも、僕は誰よりも君を愛してる!」
「...嬉しい、わ...でも待って!何でそこにアレンやユリアス様、ルーが出てくるの?」
「え?だってその人達といると楽しそうだから...。」
ペタンと耳が垂れる姿はあまりにも可愛すぎてわしゃわしゃしたくなるけれど、だが今はそれどころでは無い。
「まずアレンは私専用の執事であり家族よ?ユリアス様は私など眼中に無いわ。ルーは大事なお友達なのよ。」
「それはロゼが思ってるだけでしょ?相手は分からないじゃないか...」
(あぁ、そうか...エルも不安なのね。...当たり前か、私はちゃんと伝えてないんだもの。)
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