【104】
(リノア様...エルに気持ちを伝え、に行ったんだよね。)
エルの元へと向かったリノア様の背中を私はただ見つめるしかなかった。
自分の気持ちに気が付いたのはリノア様のお陰ではあるが、その自分の気持ちをエルに伝えるのはやっぱり躊躇してしまう。
(エルは何て答えるの、かな...。もし、もしも、リノア様の気持ちがエルに届いてそのまま2人仲良くここに来ちゃったら...私、ちゃんと祝福の言葉、笑顔で言えるかな...。)
2人が仲良く手を繋いで来てしまったらと考えると自分はこの場所にいて良いのかとさえ思ってきてしまう。
「私、最悪だ...」
(上手くいかなければ良いなんて思ってる。そんな事、思っちゃダメなのに...。)
自分の気持ちに気がついてリノア様がエルの所へと行ってしまってから嫌な感情ばかりが私の中を支配する。
「こんな、感情、今まで感じた事、無かったのに...上手くいかなければ、良いだなんて...」
こんな事を思ってしまう自分がとてつもなく嫌になった。
でも、リノア様によって知った自分のエルを好きだと想う気持ちを無かったことになんて出来ない
。
「...よし!こんなウジウジしててもダメだわ!玉砕覚悟で想いを伝えましょう!」
先程までの嫌な感情を押し殺してエルとリノア様が仲良く来たとしても、リノア様には悪いがちゃんと自分の気持ちを伝えようと決心した。
「そして、ダメだった時はソフィア様達に慰めて貰いましょう。」
きっとソフィア様は優しく慰めてくれるはずだ。
他の皆も優しいからきっと優しい言葉をくれるかもしれない。
(あ、でも。そうなると気まづい思いもさせちゃうなぁ。...だけど、この気持ちを伝えないなんていう選択は...出来ない。)
「あの時のエルもこんな気持ち、だったのかな?」
(心変わり...だってあるよね。あの時は私を...好きだったかもしれないけど、リノア様は可愛いし幼馴染なんだもん。)
あの時は自分に好意を寄せてくれてたが、今もそうとは限らない。
幼馴染であるリノア様の告白でエルの気持ちが変わってもおかしくは無いのだ。
「...またウジウジ考えてしまったわ。ダメね。...玉砕覚悟!って決めたんだもの。」
「何が、玉砕覚悟なの?」
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