【97】
「なぁローゼリア、ここの問題だがどう思う?」
「ここは、そうですね...こうしたらよろしいのではないでしょうか?」
「おぉ!そうか!流石だな。」
只今、何故かエリック殿下と試験勉強中です。
(何故!?なんでこうなった!?)
数日前にエリック殿下から『友達になってくれ』と頼まれたけれど、まさか本気だったなんて...。
エリック殿下の気まぐれなんだと思い、あの時の雰囲気は断れる事も出来なかったから一応了承したけれど、今回の試験勉強を一緒になんて言ってくるとは思わなかった。
「殿下が珍しいですねぇ。どうしたんです?」
不思議そうな顔で近付いて来たのはユリアス様だ。
先程まで一緒に勉強していたルーはエリック殿下が来てから私の隣で黙りを決め込んでいる。
「ん?あぁ、ローゼリアと友達になったからな。」
「え?」
いつもの爽やかフェイスからは想像つかない程に驚いているユリアス様をほっといて私は目の前の問題へと目を向けた。
「ほ、本当なのか!?」
「...みたいですね。」
(それしか言えないわよ...誰かこのポジション変わってくれないかなぁ)
「...良いのか?」
私の前へと座ったユリアス様が私の隣に座っているエリック殿下が問題へと集中している時に小声で聞いてきた。
「...良いも何もそうなってしまったのよ。」
頭を抱えながら私は溜息をはいた。
「ねぇ、リアここの問題...」
「ここ難しいのよねぇ...ここはこれを応用するのよ。」
ルーはエリック殿下なんて見えていないかのように対応している。仲良くなったユリアス様には挨拶していたけれど。
途中から来たユリアス様も試験勉強し始めて私は周りの女子生徒の視線から逃れるように勉強へと集中した。
「ローゼーちゃーん」
満面の笑みで私に近付いてくるソフィア様に顔が引き攣りそうになるのを我慢して、ぎこちないながらも微笑んでみせる。
「ソ、ソフィア様、どうなされたのですか?」
「聞いたわよ!昨日ルーカス様とユリアス様とそれにエリック殿下と第1図書室でお勉強されていたのでしょう?今日はその話で持ち切りなのよ!」
『どうして誘ってくれなかったの!?』と頬を膨らませて言うソフィア様は可愛いが、それよりももう学園中に広まっているとは何とも頭が痛い。
(分かっていたけど...早いよ。それになんだか面倒だよ。)
「珍しいわね、エリック殿下と一緒なんて。何かあったの?」
「...友達になってと言われたので...」
「へ?」
「...エリック殿下と友達になりました。」
死んだ魚のような目でソフィア様に数日前の事を話した。
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