【91】
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「私はラウスが好きだ。だから貴女と私はライバルね!」
(え?何何何!?いきなりライバル宣言!?)
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アーステル国の公爵令嬢がこの国に到着したとお父様から報告があった。
昨日からその準備でエルも城へと行っている。
エルからもだが、ウィル様にも公爵令嬢のお相手をソフィア様と一緒にと、お願いされた。まぁ動物好きな私にとっては嬉しいから全く構わないのだけど、でもエルが言っていたのが気になる。
猫の気ままさが公爵令嬢にある、らしい...。
(気ままさがあるから猫って可愛いのよね!でも、それが人となると...うーん、でも獣人だから許せそうだけどぉ。まっ、会ってみないと分からないものね!)
数日が過ぎたが、公爵令嬢の話はあまり聞かない。どういう方なのかさえ噂を聞かないので私は内心ソワソワするばかりだ。
「ロゼちゃん、そんなに隣国の令嬢が気になる?」
「え?...バレてましたか?」
ソフィア様にバレてしまうくらい態度に出てしまったのだろうか。だったら公爵令嬢としてはしたない。
「ふふ、周りからはバレないけれどいつもロゼちゃんを見てる私だからよ。動物が大好きなロゼちゃんだもの、気になるのは当たり前よね。...それにラウス殿下も付きっきりなのでしょう?心配よねぇ」
と意味ありげな目線を私に投げかけるソフィア様に私は動揺を隠せずにいた。
「き、気になる、のは、その...猫の獣人とエルから聞いているので気になってはいますが...その、エルが、あの...心配、といえば...そうですね。」
猫の獣人っていうのがどんな感じなのか気になるのは当たり前だ。だけど、そこに動揺した訳では無い。ソフィア様がエルの話を持ち出してきたからだ。
エルがこの国に来てからずっと私と同じ屋敷で過ごしてきて登下校も一緒にいて、授業以外はほぼ一緒にいた為、傍にエルがいないのが何だか変な感じがしてしまう。
アーステル国の公爵令嬢が来てからずっと城にいる為、ここ数日エルを見ていない。学園にも来ていないみたいなのでエルとは会えていないのだ。
だからソフィア様が言う、心配ではある。
でも、もっと長い年月会えていなかったのだから、数日会えなかっただけでなんて事無いはずなのだ。
(数年会えてない時期があったのだから数日会えないだけで心配ってのも変よね...でも、なんだか胸の奥がソワソワしてしまって...だけど、これはきっと)
「きっとまだ見ぬ猫獣人のご令嬢が気になるからだわ!」
最後の方、声が出てしまったのだとソフィア様の笑い声で気が付き恥ずかしくなった。
「ふ、ふふ、...ロ、ロゼちゃん...ふふ。やっぱり、貴女は可愛いわよね。」
上品に笑うソフィア様を見れず私は目の前にアンナが用意してくれたケーキを頬張るのだった。
「あ!そうだわ、そんな心配性なロゼちゃんに朗報よ。今週中にはラウス殿下は勿論、アーステル国のご令嬢にも会えるみたい。ウィル様がそう仰ってたの。」
「...今週中に...」
「良かったわね。アーステル国のご令嬢はどんな方なのかしらねぇ。ウィル様が何処と無くお疲れの様子だったけど、何かあるのかしら?でも、ご案内等の対応はエリック殿下だと伺っているけれど...エリック殿下が何か仕出かしたとか?」
「ウィル様がですか?...ウィル様は次期王太子でもあるので色々と心労が絶えないのでは?」
「うーん、それはそうなのだけど...。でも、あの疲れた感じアーステル国のご令嬢が来てからのような気がするのよねぇ...」
「でしたら何かあるのでしょうか?」
エルが言っていた『気まま』が頭を過ぎったけれど猫の気ままさは猫だから可愛いのだ。それに勝手が違うこの国でそんな事をしたら『我儘』と捉えられてアーステル国の評判が下がりかねない。公爵令嬢がそんな事をするはずが無い。...たぶん。
「ま、お会いしてみないと分からないわよね。」
『お会いする時はロゼちゃんも一緒だから安心』と陽だまりのような優しい笑みを私に投げ掛けてくれるソフィア様に私も笑顔で頷いた。
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